J.S.バッハ:カンタータ BWV 4 "Christ lag in Todesbanden" 第4曲-第6曲

指揮:ニコラウス・アーノンクール Nikolaus Harnoncourt
ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス Concentus Musicus Wien

第1曲-第3曲 第4曲-第6曲 第7曲-第8曲

第4曲 「イエス・キリスト、神の御子」(Jesus Christus, Gottes Sohn)
テノール・ヴァイオリン・通奏低音、4/4拍子
唐突に、伴奏が激しい上下動と走句をともなうイントロを奏で、死の恐怖と生命の戦いを暗示すると、生命の将軍たるイエスを讃えつつ、テノールが高らかに歌い出す。テノールのメロディラインはコラールとほぼ同じで、伴奏が変奏の対象となっている。伴奏が重奏で激しく軋むと、討ち取られた死の骸が静まり返った伴奏と長く伸ばされたテノールのメロディの前に晒される。曲を締めくくるハレルヤ頌は、勝利の凱歌の如く怒号の反復として表現されている。
イエス・キリストはこられ、私たちの身代わりとなって罪を除かれ、死の権威を奪われた。死の刺がなくなった。ハレルヤ!

第5曲 「世にも奇しき戦起こりて」(Es war ein wunderlicher Krieg)
合唱・通奏低音 4/4拍子
テノールを先頭に、死と生命の戦いをカノンで表現する中を、アルトが定旋律をねじ込んでいく。半音階や唐突な突き上げる音が争いを暗示する。敗れ去った死への罵倒が方々から叩きつけられ、半音が交じり合うハレルヤ頌へなだれ込む。このコラールが変奏の中心軸となる。

第6曲 「まことの過越の小羊あり」(Hier ist das rechte Osterlamm)
バス・弦楽器・通奏低音、3/4拍子
まことの過ぎ越しの子羊である、イエス・キリストの犠牲が捧げられ、十字架の上に熱き愛でやかれる。節をさらに2分割し、バスのコラール旋律朗誦と弦楽器ユニゾンの旋律リフレインの反復で進行する。犠牲の羊その血を死に突きつけて撃退する時、初めてバスが単独で咆哮し、弦楽器が輝かしい走句で彩る。滅ぼすものが私たちを損なうことはできなくなった。締めくくりのハレルヤ頌は、バスの音域を超える低音や跳躍が多くあり、楽譜どおりに歌えず1オクターブ上げている録音も多数ある。

バッハ:カンタータ 第4番

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