シェドヴィル / ヴィヴァルディ:フルート・ソナタ 作品13-6 RV 58 "il Pastor Fido" 「忠実なる羊飼い」

Mark Teplitsky, flute; qizhen Liu, cello; Evan Kory, harpsichordl
Live performance: August 21, 2022 Laurel Heights Church in San Antonio

忠実な羊飼い「作品13」6番・ト短調のソナタはプロ奏者もよく取り上げてきた人気の作品です。しかし演奏は「6曲中、突出して難しい」(堀川智也さん)。ことに第4楽章は難しいのですが、これは偽作者・シェドヴィーユが真作を装うためにヴィヴァルディーのヴァイオリン協奏曲(作品4-6)を下敷きに書き直したものだそうで、さすがに音楽としては魅力があります。 フランスの作曲家 ニコラ・シェドヴィル(Nicolas Chedeville, 1705年2月20日 - 1782年8月6日)は、1737年、ジャン=ノエル・マルシャンと組んで曲集を出版するが、それには「アントニオ・ヴィヴァルディ作曲『忠実な羊飼い(Il pastor Fido)』Op.13」というタイトルがついていた。シェドヴィルはその出版で利益を得たが、1749年、マルシャンによる公正証書で偽作と証明された。
ミュゼットのための作品がなかった偉大な作曲家の名を利用して、ミュゼットを流行らせることが目的だったのかもしれない。

曲は4楽章から成っています

第1楽章:
ヴィヴァーチェ Vivace (生き生きと)で、踊りの曲のような感じ。田園ふうの素朴さと洗練が共存し、しかも濃厚な情緒をたたえた、ふしぎな魅力のある名品です。
第2楽章:
アラ・ブレーヴェ(2拍子で)のフーガ。第4楽章のモチーフとの関連を感じさせる印象的なテーマ、がっちりした力強い展開で、シェドヴィーユが立派な腕前を持つ作曲家だったことがよくわかります。
第3楽章:
ラルゴ Largo(ゆるやかに)と指定されたシチリアーノふうの曲で、和声に工夫があって美しい。
第4楽章:
アレグロ・マ・ノン・プレスト Allegro ma non presto(快活に、しかし速くないテンポで)と記された爽快な音楽。下敷きにしたというヴィヴァルディーの協奏曲楽章がすでにそうであったのかどうか、「反復進行」による表現が随所にみられるのが特徴で、ちょっとワンパターンか?と思うほどですが、しかしイヤでも耳に残る魅力を持つことは否定できません。音楽は歯切れがよくリズム感も新鮮で多彩、たいへん楽しくできています。

ソナタ「忠実な羊飼い」6番 ト短調

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