J.S.バッハ:カンタータ BWV 144 "Nimm, was dein ist, und gehe hin"
指揮:カイ・ヨハンセン Kay Johannsen
Stiftsbarock Stuttgart
Daniel Schreiber, Tenor | Franziska Bobe, Sopran
Auffuhrung im Rahmen des Zyklus Bach:vokal, Stiftskirche Stuttgart, 25.1.2013.
『おのがものを取りて、行け』(Nimm, was dein ist, und gehe hin)BWV144は、ヨハン・ゼバスティアン・バッハが1724年2月6日の七旬節の礼拝のために作曲した教会カンタータ。全6曲からなり、1724年春のカンタータの中では異例の地味なオーケストレーションから、偽作説も取り沙汰されている。演奏機会が非常に少なく、耳にする機会に恵まれない作品である。
第1曲 合唱『おのがものを取りて、行け』(Nimm, was dein ist, und gehe hin)
合唱・オーボエ2・弦楽器・通奏低音、ロ短調、2/2拍子
前奏なしでフーガが始まる。器楽はすべて合唱パートに重なって補強役に徹する。歌詞は当日朗読される福音書の第14で、不満を訴える労働者を追い払う主人の言葉である。長い音符で上下動をともなう契約の履行(Nimm, was dein ist)のフレーズに、激しく反復される追放(gehe hin)のメリスマが覆いかぶさる。フーガが進行するにつれ、契約のフレーズが追放のフレーズに埋没し、遂には追放のフレーズが長い音符に変わって不協和音を軋ませながら曲を支配する。やがて追放のフレーズは元の荒々しい姿に戻り、全パートが叫びながらフーガが終わる。