シャコンヌ Chaconne

シャコンヌ (仏 chaconne、チャッコーナ 伊 ciaccona、チャコーナ 西 chacona) は、3拍子の舞曲の一種。 バロック時代にはオスティナート・バスによる変奏曲の形式として盛んに用いられた。オスティナート・バスによる類似の音楽としてパッサカリアがあるが、17世紀後半以降、「シャコンヌ」と「パッサカリア」の呼称はしばしば混同して用いられている。

First page of the original Chaconne score written by J.S.Bach in 1720.

起源

チャコーナ chacona に関する最古の記録は新大陸のものであり、1598年の Mateo Rosas de Oquende のペルーの出来事を記述した詩で、舞曲の一つとしてその名を挙げられている。 当時のチャコーナは歌を伴う快活な舞曲であり、ギターで伴奏された。多くの場合性的な含意を伴う踊り、風刺的な歌詞を持っていたようである。そのために、しばしば公の場でチャコーナを演奏したり踊ったりすることが禁じられたが、爆発的に人気を博して、イベリア半島とイタリア半島であっという間に広まった。このころのチャコーナの完全な例は残されていないが、セルバンテスなど同時代の文学に記述が現れている。 スペイン及びイタリア、特にナポリではコメディア・デラルテでチャコーナが用いられるようになり、特にアルレッキーノ (伊 arlecchino、アルルカン 仏 arlequin、ハーレクイン 英 harlequin) と強く関連付けて用いられたようだ。

最初期のチャコーナの譜例はアルファベト Alfabeto と呼ばれる5弦のギター用の記譜法で残されている。これは各和音を奏するための指の押さえ方を定め、アルファベット一文字に対応させた記譜法である。それによって、チャコーナはI-V-VI-Vの和声進行を繰り返す音楽であったことがわかる。

流行

ドイツ

ドイツにおける初期のチャコーナ(ciacconaともciaconaとも綴られた)はイタリアのチャッコーナを少なからず模倣するようなものであった。例えば、ハインリヒ・シュッツの「神聖シンフォニア集」(Symphoniae Sacrae 第2集 (1647)) の「神は立ち上がり」 Es steh Gott auf (SWV 356) の終結部は典型的なイタリア風のチャッコーナで書かれている。実際、この部分に関してはシュッツ自身がモンテヴェルディの「西風が戻り」 Zefiro torna をモデルにしたと証言している。

ドイツにおけるチャコーナの独自の発展は、主にオルガン音楽の分野でなされた。ヨハン・カスパール・ケルルの書いた Ciaccona はまだ17世紀イタリアのチャッコーナの面影を残した作品である。チャコーナとパッサカリアに基づく変奏曲は、主に南ドイツのオルガン楽派によって発展させられていったが、ヨハン・パッヘルベルやディートリヒ・ブクステフーデは、伝統的なバス主題からはなれ、独自のバス主題を用いるようになった。これは、ドイツにおけるコラールに基づく即興やパルティータという独自のジャンルの中で発展した多様な主題に基づくパッセージワークのテクニックを発揮するために、変化に富んだバス主題を用いる必要があったからだとされる。

ドイツの器楽アンサンブルのためのシャコンヌはフランス風のシャコンヌの形式に則ったものも多く書かれているが、オルガン作品に見られるドイツ風のチャコーナとの様式の融合も見られる。有名なヨハン・ゼバスティアン・バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番の終曲のシャコンヌはこのフランス風のシャコンヌとドイツ風のチャコーナの融合の延長上の終極点にある作品である。

衰退と再生

18世紀後半に入ると、フランスのオペラの流れを汲む劇場作品にシャコンヌと名の付く作品が書かれはしたものの、シャコンヌの流行は急速に衰えていった。19世紀になると、バロック音楽の「再発見」がおこり、多くの作曲家がバロック時代、とくにヨハン・ゼバスティアン・バッハの作品をモデルにしたり模倣したりして作曲するようになった。ベートーベンのハ短調の創作主題による32の変奏曲、またブラームスの交響曲第4番の終楽章は、後期バロック時代のシャコンヌ(あるいはパッサカリア)を下敷にかかれている。

20世紀になると、パッサカリア、あるいはシャコンヌと明示的に名前の付けられた作品が多く書かれるようになる。シャコンヌと名の付く作品はパッサカリアほど多くはないが、ジェルジ・リゲティのハープシコードのための「ハンガリアン・ロック:シャコンヌ Hungarian Rock: Chaconne」(1978)や、ブライアン・ファーニホウの無伴奏ヴァイオリンのための「チャッコーナ風間奏曲 Intermedio alla Ciaccona」などがあげられる。

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