ワーグナー: ジークフリート牧歌 Siegfried-Idyll

指揮: アラン・アルティノグリュ Alain Altinoglu
hr-Sinfonieorchester - Frankfurt Radio Symphony
hr-Sendesaal Frankfurt, 13. Januar 2022 (Konzert ohne Publikum)

《ジークフリート牧歌》(ドイツ語: Siegfried-Idyll)は、リヒャルト・ワーグナーの器楽曲。室内オーケストラのための作品で、音詩もしくは一種の交響詩と見なされるが、特定の筋書きや情景が意図されているわけではない。

1870年に、妻コジマ・ワーグナーへの誕生日およびクリスマスの贈り物として準備された。同年12月25日に、スイス・ルツェルン州トリプシェンの自宅(現在、リヒャルト・ワーグナー博物館となっている)で非公開初演が行われ、事前に作品の存在を知らされていなかったコジマをいたく感激させた。本作品はまた、前年(1869年)に息子ジークフリートを産んでくれたコジマに、ねぎらいと感謝を示す音楽でもあった。

ワーグナー夫妻の私的な団欒の音楽だったため、とりわけコジマは出版を渋ったが、1878年に出版されるとたちまち人気を呼び、オーケストラの標準的なレパートリーに含まれるようになって、ワーグナー家の家計をある程度まで潤した。

原題は『誕生日の交響的な祝賀として彼女のリヒャルトが彼のコジマに贈る、フィーディーの鳥の歌とオレンジ色の日の出をともなうトリプシェン牧歌』(独: Tribschener Idyll mit Fidi-Vogelgesang und Orange-Sonnenaufgang, als Symphonischer Geburtstagsgruss. Seiner Cosima dargebracht von Ihrem Richard)であった。フィーディーはジークフリートの愛称であり、鳥の歌や日の出はワーグナー夫妻にとって私的な意味のあるエピソードだったらしい。

ワーグナーの楽劇《ジークフリート》は、1876年まで初演されていなかったが、それと共通する素材が《ジークフリート牧歌》のなかに含まれている。以前には、楽劇に使うつもりであった素材が本作品にも利用されただけのことと見なされていたが、現在ではまったくの正反対であることが分かっている。ワーグナーは、未完成の室内楽曲から旋律素材を《牧歌》に用い、その後さらに楽劇の中で、ジークフリートとブリュンヒルデの愛の場面にも転用したというわけである。
作品はホ長調により、大まかにソナタ形式を踏まえながら、自由にいくつかのエピソードが挿入されて構成される。

編成
管楽器はほとんどの楽器が1本ずつの8パートで、若干拡張されてはいるものの実質的に1管編成といえる小編成である。さらに弦楽器は分割(ディヴィジ)がなく各パート1人ずつでも演奏できるなど、十三重奏の室内楽として演奏可能なほどにコンパクトに作曲されており、前述のエピソードからも初演時はこれに近い少人数で演奏されたことがうかがわれる。この小規模な編成は、後世のシェーンベルクの室内交響曲やヴェーベルンの交響曲の元となった。
フルート、オーボエ、クラリネット2、ファゴット、ホルン2、トランペット、弦五部
演奏時間:約21分。

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