ワーグナー: 楽劇「神々の黄昏」 - Götterdämmerung 「ジークフリートの葬送行進曲」

指揮:クラウス・テンシュテット Klaus Tennstedt
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団 London Philharmonic Orchestra
Oct. 18 1988  Suntory Hall (Tokyo)

 

『神々の黄昏』(ドイツ語: Götterdämmerung)はリヒャルト・ワーグナーが1869年から1874年までかけて作曲し1876年に初演した楽劇。ワーグナーの代表作である舞台祝祭劇『ニーベルングの指環』四部作の4作目に当たる。

『ニーベルングの指環』四部作は、ひとつのプロローグと3日を要する舞台上演と見なすことができ、本作『神々の黄昏』はその「第3日」(Dritter Tag)に当たるとともに、四部作の最後を締めくくる作品である。
「指環」四部作はそれぞれ独立した性格を持ち、単独上演が可能である。『神々の黄昏』は序幕を含む全3幕からなり、上演時間は約4時間20分(序幕および第1幕110分、第2幕70分、第3幕80分)。四部作中もっとも長大であり、劇的変化に富む。 序幕と第1幕の間奏曲「夜明け - ジークフリートのラインへの旅」や第3幕の間奏曲「ジークフリートの葬送行進曲」及び「ブリュンヒルデの自己犠牲」の音楽は演奏効果が高く、しばしば管弦楽のみで独立して演奏される。

第3幕第2場と第3場の間奏曲として演奏される「ジークフリートの葬送行進曲」は、これに先立って瀕死のジークフリートがブリュンヒルデの覚醒を回想する場面とともに、『ニーベルングの指環』全体の「第一フィナーレ」の役割を果たしている。音楽は独立した管弦楽曲としても演奏される。 曲は、音楽の機能によって「哀悼」、「葬送」、「舞台転換」三つの部分に分けられる。
1. 哀悼
ハ短調。死を象徴する減5度音程が多用され、息の長い緊張が持続する。低弦に「英雄の死の動機」が繰り返されるうちに、「ヴェルズングの苦難の動機」が現れる。
2. 葬送
「厳かに」(前半)と「表情豊かに」(後半)の二つの部分からなる。 前半は、「ヴェルズングの英雄の動機」がハ短調、ヘ短調で示され、変ニ長調に転じる。後半は、『ヴァルキューレ』第1幕でのジークムントの嘆き「お分かりでしょう、フリートムントと名乗らぬわけも」が再現、木管に「ジークリンデの動機」と「ヴェルズングの愛の動機」が連結され、低音部に「ヴェルズングの苦難の動機」が再び出る。
3. 舞台転換
トランペットに「剣の動機」が本来のハ長調で現れ、これに導かれてオーケストラが全開となる。ホルンに「ジークフリートの動機」(ハ短調)、金管群に「ジークフリートの英雄の動機」(変ホ長調)がそれぞれ初出の調性に立ち返って再現、総括する。

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