チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35

指揮: ユーリー・テミルカーノフ Yuri Khatuevich Temirkanov
サンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団 Saint Petersburg Philharmonic Orchestra
ヴァイオリン: 庄司 紗矢香 Sayaka Shoji
2001.11.5 Suntory Hall (Tokyo Japan)

 

チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲ニ長調 作品35は、1878年に作曲されたヴァイオリンと管弦楽のための協奏曲。ベートーヴェン、メンデルスゾーン、ブラームスのいわゆる3大ヴァイオリン協奏曲に本作を加えて4大ヴァイオリン協奏曲と称されることもある名曲であるが、ベートーヴェンやブラームスと同様にチャイコフスキーも本作1作しかヴァイオリン協奏曲を作曲しておらず、そのいずれもがニ長調で書かれていることはよく知られている。

第1楽章 アレグロ・モデラート - モデラート・アッサイ ニ長調 ソナタ形式。
オーケストラの第1ヴァイオリンが奏でる導入主題の弱奏で始まる序奏部アレグロ・モデラートでは、第1主題の断片が扱われる。やがて独奏ヴァイオリンがカデンツァ風に入り、主部のモデラート・アッサイとなる。悠々とした第1主題は独奏ヴァイオリンによって提示される。この主題を確保しつつクライマックスを迎えた後静かになり、抒情的な第2主題がやはり独奏ヴァイオリンにより提示される。提示部は終始独奏ヴァイオリンの主導で進む。展開部はオーケストラの最強奏による第1主題で始まる。途中から独奏ヴァイオリンが加わりさらに華やかに展開が進み、カデンツァとなる。再現部はオーケストラと独奏ヴァイオリンが第1主題を静かに奏で、徐々に音楽を広げて行き、型通りに第2主題を再現する。ここから終結に向け音楽が力と速度を増してゆく中、独奏ヴァイオリンは華やかな技巧で演奏を続け、最後は激しいリズムで楽章を閉じる。

第2楽章 カンツォネッタ アンダンテ ト短調 複合三部形式。
管楽器だけによる序奏に続いて独奏ヴァイオリンが愁いに満ちた美しい第1主題を演奏する。第2主題は第1主題に比べるとやや動きのある主題で、やはり独奏ヴァイオリン主体で演奏される。第1主題が回帰してこれを奏でた後独奏ヴァイオリンは沈黙し、オーケストラが切れ目なく第3楽章へと進む。

第3楽章 アレグロ・ヴィヴァーチェシモ ニ長調 ロンドソナタ形式。
第1主題を予告するようなリズムの序奏の後、独奏ヴァイオリンが第1主題を演奏する。この主題はロシアの民族舞曲トレパークに基づくもので、激しいリズムが特徴である。やや速度を落とし、少し引きずる感じの第2主題となるがすぐに元の快活さを取り戻す。だが、この後さらにテンポを落とし、ゆるやかな音楽となる。やがて独奏ヴァイオリンが第1主題の断片を演奏し始めると徐々に最初のリズムと快活さを取り戻し、第1主題、第2主題が戻ってくる、最後は第1主題による華やかで熱狂的なフィナーレとなり、全曲を閉じる。

ヴァイオリン協奏曲 (チャイコフスキー)

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