チャイコフスキー:交響曲第4番 作品36

指揮: エフゲニー・ムラヴィンスキー Evgeny Mravinsky
レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団 Leningrad Philharmonic Orchestra
(現 サンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団)
Recorded 14, 15 September 1960, Wembley Town Hall, London

交響曲第4番ヘ短調 作品36は、チャイコフスキーが1877年から翌1878年にかけて作曲した交響曲。

初演は1878年2月10日(旧暦。新暦では2月22日)サンクトペテルブルクにて、ニコライ・ルビンシテインの指揮により行われた。
演奏時間は約42分。

第1楽章 Andante sostenuto - Moderato con anima - Moderato assai, quasi Andante - Allegro vivo ヘ短調、序奏付きのソナタ形式 ソナタ形式とは言っても同時代のブラームスの交響曲と比べれば、かなり自由な構成をとっている。

曲頭のホルンとファゴットのファンファーレのモチーフは全曲の主想旋律となる。このファンファーレは運命のファンファーレとも呼ばれ、本楽章の展開部以降にしばしば登場する。楽章終盤では立て続けに登場し、楽章終結に向けて大いに曲の緊迫感を高めていく。また第4楽章の終盤にもそっくり再来して曲の雰囲気を一転させることになる。

序奏部のあとは、暗く悲劇的な第1主題が弦で提示され提示部が始まる。第1主題の確保は木管楽器を中心とした楽節で行われる。ティンパニーが登場すると第1主題の提示・確保部分は終了し、続いて第1主題による経過部分に入る。経過部は第1主題の断片を低音弦楽器、木管楽器が繰り返し、徐々に盛り上がっていく。やがてオーケストラのトゥッティで第1主題が奏されて最初のクライマックスを築く。続いて木管楽器による少しおどけた感じの第2主題が現れる。この主題は弦楽器に引き継がれて安定した感じとなる。さらに推移主題が弦に現れて大きく発展し、独特のリズムを持ったコデッタになだれ込み、明るく大きなクライマックスを築く。だが低音弦楽器が奏するくらい音色が直ぐに優勢になり、冒頭のファンファーレが登場し、そのまま展開部になだれ込む。展開部はまず第1主題により進み展開される。やがてファンファーレの旋律も加わると、ファンファーレ旋律と第1主題の展開より、曲は激しいクライマックスを築いてゆく。その頂点で再現部へ移り、第1主題がトゥッティで奏され静まる。そのまま第2主題の再現も続き、推移主題は発展部分が省略されそのままコデッタになだれ込む。やがてファンファーレが三度目の登場となるとコーダが始まる。続いて子守唄風の短い楽節を経て、行進曲調に変形された第1主題とファンファーレ旋律によって最後の大きなクライマックスを築いていく。この時、次々と奏されるファンファーレ旋律は圧巻である。最後は第1主題をトゥッティで激しく強奏し、ヘ短調の長い和音で終わる。

第2楽章 Andantino in modo di canzona - Piu mosso 変ロ短調、三部形式 カンツォーネ風の緩徐楽章。
三部形式ではあるが、モーツァルトのようなシンメトリーが整った構造にはなっていない。また、第1部は繰り返されるが、反復記号による単純な繰り返しではなく楽想が異なっている。さらに、第1部と第3部が大きく異なる楽想となっている。

オーボエによって奏される主要主題はほの暗く重々しい。呼応となる楽節は弦楽器を中心に奏されるが、これもまた重々しい。オーボエによって奏された主要主題は、繰り返し部分では弦楽器中心に奏される。呼応の楽節の繰り返しが終わると、曲は第2部へ入る。第2部は比較的明るい楽想となる。第2部の主題的な旋律は木管楽器中心で提示され、低音弦楽器、ピッコロ、高音弦楽器と引き継がれ、どんどんと音階を上り詰めていく。頂点に達して小さなクライマックスを築くと、短い導入旋律の後に第3部へ入る。第3部では主要主題は弦楽器によって再現されるが、この時、フルートのオブリガート風の旋律が絡んでくる。呼応部はほぼそのまま再現されるが、その最後ではデクレッシエンドし、主要主題の断片との掛け合いとなる。フルートによるトリルを経て主要主題が長調で密かに奏されるが、低音弦楽器の長いフレーズが直ちに穏やかな雰囲気を打ち消す。ファゴットがヴァイオリンをオブリガート風に伴って主要主題を静かに奏し、木管楽器が吹く主要主題の断片とホルンの和音の掛け合いの中、最後は木管楽器が主要主題の断片のみを繰り返し曲は静かに閉じる。

第3楽章 Scherzo: Pizzicato ostinato. Allegro - Meno mosso ヘ長調、スケルツォ(三部形式) この楽章では弦楽器は終始ピチカートで演奏される。
スケルツォ本体は単一の主題からなっており、ソナタ形式を形成するものではない。主部は弦楽器のピチカート主題のみによって構成される。主題の確保がされた後は短い展開的な楽節が続き消えるように主部を終える。ただちに木管楽器による導入を経て中間部(トリオ)が始まる。トリオではピッコロを中心にした木管楽器が活躍する主題に続き、弱音の金管楽器による行進曲が現れる。そして、この金管の行進曲に木管楽器が絡み合い短い展開を行う。徐々にスケルツォに戻る準備がなされスケルツォ主部にダカーポする。続いてコーダに移りピチカートと木管楽器の絡み合いを行いつつ、小さなクライマックスが築かれる。最後はトリオの動機を交えて、遠ざかるように消えていく。

第4楽章 Finale: Allegro con fuoco ヘ長調、自由なロンド形式。全体の構造はA-B-A-C-B-A-C-B-主想旋律(ファンファーレ)-Coda
チャイコフスキーがフォン・メック夫人に宛てた書簡では、「この世は暗黒だけではなく、この楽章で示されているように多くの素朴な人間の喜びがある。たとえ我々は馴染めずとも、その喜びの存在を認め、悲しみを克服するために生き続けることができる」としている。この「苦悩から喜びの勝利へ」「暗から明へ」という交響曲のパターンは、ベートーヴェンの交響曲第5番以降、19世紀交響曲の一種の定石となった筋である。本曲もそのような構成の交響曲である。

実演では消えるように終わる第3楽章のあと、休みなく続けて演奏されることがある。この楽章の冒頭Aの部分は、突然トゥッティで開始されるため、びっくりシンフォニーのような効果を狙う指揮者がいる。

冒頭Aの部分でロンド主題を提示すると、曲はすぐにBの部分、副主題の提示へ移る。このBの部分は比較的大人しく経過し、2回目のAのロンド主題で再び曲は爆発する。この爆発の後の経過句もまたトゥッティでエネルギーを発散するが、やがて曲調が暗くなりCの部分へ入る。Cの第2副主題ははじめは大人しいが、変奏を繰り返すうちにエネルギッシュになり、チューバが主題を吹いたところで頂点となり、一時曲は静まる。第2の経過句ともいえる部分を経て、3度Aのロンド主題が登場し、次いでAの経過句も再現される。続いてBが再現されるが、ここではファンファーレの再来に備え悲しげな曲調で再現される。Cは金管の強奏で圧倒的な緊張感をもって再現される。

Cの再現が頂点に達すると、ファンファーレが金管楽器群の一斉の強奏で第1楽章冒頭を再現し、それまでの勝利を確信した流れを一転させる曲調へと変わる。第1楽章の第1主題が顔を出しそうな雰囲気になり、曲の先行きも怪しくなる(実はこのファンファーレの再現の際にティンパニーの強打時には、シンバルとパーカッションも加わり曲の勝利への流れは密かに継続してはいる)。短い持続低音の後、Aの部分の経過句が静かに現れ、次第に力強くなりコーダになだれ込む。ロンド主題が金管楽器中心に力強く奏される。やがて第2副主題も長調で金管楽器により力強く奏され、終結部に至り曲を力強く結ぶ。
この楽章の第2副主題(C)はロシア民謡『白樺は野に立てり(ロシア語版)』による。

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