チャイコフスキー: 『奇想的小品』(Pezzo capriccioso) 作品62

モスクワ市交響楽団 Moscow City Symphony "Russian Philharmonic"
チェロ:Alexander Zababurkin

『奇想的小品』(Pezzo capriccioso) 作品62は、ピョートル・チャイコフスキーが1887年の8月に1週間で書き上げたチェロと管弦楽のための作品。表題とは裏腹に、本作の調性は交響曲第6番と同じ物憂いロ短調である。気楽という意味で奇想的であるわけではなく、チャイコフスキーが単純な主題を様々な角度から奇想を凝らして扱ったという意味合いの名称である。急速なパッセージや長調への転調があるにもかかわらず、チャイコフスキーは基本となる律動と落ち着いた雰囲気で楽曲を貫いた。

初演はピアノ伴奏の形でチャイコフスキーがパリ訪問中の1888年2月28日(ユリウス暦 2月16日)にM.P.ベナルダキー(Benardaky)の自宅で行われた。チェロはブランドゥコーフ、ピアノは作曲者自身が演奏した。管弦楽伴奏版の初演は1889年11月25日、モスクワでロシア音楽協会の特別演奏会において行われた。チェロはブランドゥコーフ、タクトを握ったのは作曲者であった。

楽譜は1888年にユルゲンソンから出版された。オーケストラパート譜が1月、ピアノ伴奏譜が3月の刊行であった。総譜の出版は遅れることとなったが、これはチャイコフスキーが手稿譜を携えたまま国外へ出ており、1888年5月6日になるまでユルゲンソンへ返さなかったことが原因である。総譜の初版が世に出たのは同年7月となった。曲はブランドゥコーフへと献呈された。
演奏時間 約7分。

楽器編成:独奏チェロ、フルート2、オーボエ2、クラリネット2(A)、ファゴット2、ホルン4(F)、ティンパニ、弦五部。

楽曲構成
アンダンテ・コン・モート、ロ短調、2/4拍子。独奏チェロがフォルテッシモで序奏を弾きはじめる。これが静まると、独奏チェロによる主題が提示される。
3連符による走句をところどころに織り込みながら進行する。軽快な中間部が支配する。
やがて物憂い譜例1が回帰して歌われていく。最後に再び32分音符の急速な動きとなり、次第にクレッシェンドして強奏で結ばれる。

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