チャイコフスキー:序曲1812年 変ホ長調 作品49

指揮: ウラディーミル・フェドセーエフ Vladimir Fedoseyev
モスクワ放送交響楽団、Moscow Radio Symphony Orchestra

 

「序曲1812年」は 1812年、ロシア帝国に、ナポレオン率いる強大なフランス帝国軍が侵略したがロシア軍の反撃によりフランス軍が敗退するまでの過程を描いた曲です。

第1部(1-76小節):Largo ヴィオラとチェロのソロが奏でる正教会の聖歌「神よ汝の民を救い」にもとづく変ホ長調の序奏に始まり、以後木管群と弦楽器群が交互に演奏する(後述のように、この部分を合唱に置き換える演奏もある)。和音の強奏で序奏を終えるとオーボエ、ついでチェロとコントラバスに第1主題がゆだねられる。Andanteの部分が近づくにつれてメロディーも次第に激しくなる。

第2部(77-95小節):Andante ロシア軍の行進と準えられるこの部分は、ティンパニの弱いトレモロに始まり、低音部楽器や小太鼓が主題を引き継ぎ、次第に盛り上がりを見せる。

第3部(96-357小節):Allegro giusto この部分は変ホ短調のソナタ形式で書かれている。ボロジノ地方の民謡に基づくといわれている主題があるため、「ボロジノの戦い」と説明がつくこともある。 第一主題の提示に続いて、フランス国歌「ラ・マルセイエーズ」の旋律をホルンが演奏するのをきっかけに、金管楽器群で反復して演奏される。やがて、木管群と弦楽器群が第一主題を繰り返し、またラ・マルセイエーズの主題が現れる。激しい咆哮が終わると、一転して緩やかな嬰ヘ長調(変ホ短調の平行調である変ト長調と 同じ調)の第二主題に引き継がれ、その後でロシア民謡風の主題も現れる。227小節からは再びラ・マルセイエーズの主題が響くが、前半部分とはうって変わり各パートを転々としながら演奏される。ラ・マルセイエーズの主題は次第に貧弱になり、326小節から332小節にかけてコルネットとトロンボーンで伸びに伸びきって演奏され、それを凌駕するように管楽器群・弦楽器群・打楽器群が咆哮する。最初の大砲もこの部分で5回「発射」される。山場を越えると各楽器群とも駆け下りるような音形となる(Poco a poco rallentando)。

第4部(358-379小節):Largo 冒頭の主題と同一の旋律であるが、冒頭とはうって変わってバンダを含むほぼすべての管楽器で堂々と演奏され、それに木管楽器や弦楽器、鐘が華麗に装飾する。

第5部(380-422小節):Allegro vivace 全楽器強奏で始まり、ロシア帝国国歌がバスーン、ホルン、トロンボーン、チューバ、低音弦楽器で演奏され、鐘が響き大砲もとどろく。なお、ソ連時代にはロシア帝国国歌が演奏禁止とされ、それに伴いロシア帝国国歌の部分がミハイル・グリンカ作曲の歌劇「イワン・スサーニン」(皇帝に捧げし命)の終曲に書き換えられた版も存在する。これについては編曲者の名前を取って「シェバリーン版」とも言われる。

チャイコフスキー:序曲1812年

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