シュトラウスⅡ: オペレッタ『こうもり』 Die Fledermaus 序曲

指揮:カルロス・クライバー Carlos Kleiber
バイエルン国立管弦楽団 Bayerische Staatsorchester
May 19th,1986 昭和女子大学人見記念講堂, Tokyo

『こうもり』(ドイツ語: Die Fledermaus)は、ヨハン・シュトラウス2世が1874年に作曲し、同年4月5日にアン・デア・ウィーン劇場で初演された全3幕のオペレッタである。

原作:ロデリヒ・ベンディックスの喜劇『牢獄』(1851年)に基づいて、アンリ・メイヤックとリュドヴィック・アレヴィが書いた喜劇『夜食』(1872年)
台本:カール・ハフナーとリヒャルト・ジュネがメイヤックとアレヴィの原作を手直しした
作曲時期:1874年
初演:1874年4月5日、アン・デア・ウィーン劇場

数あるウィンナ・オペレッタの中でも最高峰とされる作品で、「オペレッタの王様」ともよばれる。ヨハン・シュトラウス2世特有の優雅で軽快なウィンナ・ワルツの旋律が全編を彩り、その親しみやすいメロディーは全世界で愛されている。なお、台本には日付の設定はないが、ウィーンをはじめドイツ語圏の国々の歌劇場では大晦日恒例の出し物となっている。

歌手の歌の配分が比較的均等であり、合唱の活躍場面も比較的多いため、華やかにオールスターを並べることが可能である。ソロパートは8人だが、歌の上では軽い役であるフランク所長を高名なベテランが歌うことが慣例化しており、おおむね7人までスターが並ぶ。三重唱を1曲歌うだけのブリント弁護士のみは脇役専門のブッフォテナーの持ち役だが、ここに往年のスター歌手を起用した例もある。また、ドラマ上は脇役のアデーレに最も多くソロが用意されているため、主役級のロザリンデよりも格上のスターがあてられるケースが珍しくない。

ウィーン国立歌劇場では毎年年末年始に公演が組まれており、大晦日の国立歌劇場の『こうもり』と年始のウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のニューイヤー・コンサート(大部分がシュトラウス作品)がウィーンでの恒例行事となっている。オーケストラは各70人前後のニ手に分かれて、二つのシュトラウス・プログラムに従事する。ドイツ圏の他の歌劇場またそれ以外の歌劇場でもこれにならっているところがある。

もっとも、かつてのウィーン国立歌劇場(ウィーン宮廷歌劇場)は格式を重んじてオペレッタの上演は原則的に行わなかった(それ以前にはシュトラウスの『騎士パズマン』をオペラという名目で初演)ため、『こうもり』については、初演20年後の1894年にシュトラウスのデビュー50周年を記念して、宮廷歌劇場の年金機関運営委員会の主催で上演されたのが初めてである。その後、1897年に当時の宮廷歌劇場総監督グスタフ・マーラーによって正式にレパートリーとなった。

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