ヨハン・シュトラウスⅡ: ワルツ「美しき青きドナウ」 "An der schönen, blauen Donau" 作品314

ウィーン少年合唱団 Wiener Sangerknaben
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 Wiener Philharmoniker
An excerpt from the opening ceremony of the renovated parliament building in Vienna on 12 January 2023.

『美しく青きドナウ』(ドイツ語: An der schonen, blauen Donau)作品314は、ヨハン・シュトラウス2世が1867年に作曲した合唱用のウィンナ・ワルツ。
『ウィーンの森の物語』と『皇帝円舞曲』とともにシュトラウス2世の「三大ワルツ」に数えられ、その中でも最も人気が高い。作曲者およびウィンナ・ワルツの代名詞ともいわれる作品である。オーストリアにおいては、正式なものではないが帝政時代から現在に至るまで「第二の国歌」と呼ばれている。

邦題
『美しき青きドナウ』とも表記され、また「青」ではなく「碧」という漢字が用いられることもある。当記事では、『ヨハン・シュトラウス2世作品目録』(日本ヨハン・シュトラウス協会、2006年)の、『美しく青きドナウ』に従う。オーストリアでは単に『ドナウ・ワルツ』(Donauwalzer、Donau-Walzer)と呼ばれることも多い。

ちなみに、『美しく青きドナウ』という邦題は、原題「An der schonen, blauen Donau」のうちの「An(英語のbyに相当)」を無視したもので、正確に訳すと『美しく青きドナウのほとりに』といった題になる。原題と異なる邦題が定着しているのは日本だけではなく、たとえば英語圏では『The Blue Danube(青きドナウ)』となっている。

大晦日から新年に代わるとき、公共放送局であるオーストリア放送協会は、シュテファン大聖堂の鐘の音に続いてこのワルツを放映するのが慣例となっている。それに続いて元日正午から始まるウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のニューイヤーコンサートでは、3つのアンコール枠のうちの2番目としてこのワルツを演奏するのが通例である。つまりオーストリアでは毎年元日に少なくとも2回は『美しく青きドナウ』が公共放送から流れてくるのを聴くことができる。ニューイヤーコンサートでは、序奏部を少しだけ演奏した後、聴衆の拍手によって一旦打ち切り、指揮者や団員の新年の挨拶が続くという習慣となっている。

父シュトラウス1世の『ラデツキー行進曲』も同コンサートを締めくくる定番の曲であるが、こちらも国家的な行事や式典でたびたび演奏される曲である。これら二つの曲が同コンサートにきまって取り上げられるのは、ただ人気が高いからというだけの理由ではなく、オーストリアを象徴する曲だということも大きな理由なのである。ちなみに、カラヤンとケンペはステレオ初期にウィーン・フィルを指揮して録音した「シュトラウス・アルバム」に、この曲を含めていない。

日本においては、京都市交響楽団などがニューイヤーコンサートで演奏する事も多い。近年は特に京都市少年合唱団との共演で行なっている事も少なくない。

美しく青きドナウ

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