サン=サーンス: ヴァイオリン協奏曲 第3番 ロ短調 作品61

指揮: ズービン・メータ Zubin Mehta
イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団 Israel Philharmonic Orchestra
ヴァイオリン: ジュリアン・ラクリン Julian Rachlin

 
ヴァイオリン協奏曲 第3番 ロ短調作品61は、カミーユ・サン=サーンスの最後のヴァイオリン協奏曲で、ロマン派音楽における重要なヴァイオリンと管弦楽のための協奏的作品の一つ。1880年に完成され、初演者のパブロ・デ・サラサーテに献呈された。
「序奏とロンド・カプリチオーソ」や「ハバネラ」と並び、多くのヴァイオリニストに愛奏されてきた。旧作ほどヴァイオリンの演奏技巧を前面に押し出してはおらず、それでいて音楽的な充実は増し、旋律の創意や表現の巧みさにおいてまさっている。このような特質がとりわけ端的に示されているのが、静謐な緩徐楽章であり、また終楽章における自信に満ちた力強いコラールである(後者は《ピアノ協奏曲第4番》の壮麗な終結の名残ともいえる)。
1881年1月2日、パリにてサラサーテの独奏により初演。

第1楽章: アレグロ・ノン・トロッポ ロ短調、2/2拍子。ソナタ形式。
弦楽器のトレモロの上にヴァイオリンが第一主題を奏して始まり、ホ長調の第二主題もヴァイオリンが歌う。再現部の第一主題は省略され、規模の大きいコーダが楽章を締めくくる。

第2楽章: アンダンティーノ・クヮジ・アレグレット 変ロ長調、6/8拍子。三部形式。
第一楽章の情熱とはうって変わった、穏やかな舟歌。コーダでは、ヴァイオリンのフラジオレットとクラリネットのユニゾンによるアルペジオが幻想的な音響を作り出す。

第3楽章: モルト・モデラート・エ・マエストーゾ - アレグロ・ノン・トロッポ ロ短調、4/4拍子 - 2/2拍子。ソナタ形式。
ホ短調のヴァイオリンのカデンツァに管弦楽が応え、序奏を形成する。第一主題は符点リズムや三連符が特徴的な決然としたもので、次いで伸びやかな第二主題(ニ長調)、コラール風の静かな主題(ト長調)が提示される間に技巧的な展開が挟まれる。再現部は序奏から始まり、かなり変形されている。第二主題によるコーダが華麗な終結を迎える。
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