サン=サーンス:ピアノ協奏曲 第2番 ト短調 作品22

指揮: ジョージ・ペーリヴァニアン George Pehlivanian
RTVE Orchestra (Spanish Radio and Television Orchestra)
ピアノ: アレクサンダー・マロフェーエフ Alexander Malofeev
Madrid, Teatro Monumental 23/10/2020

1868年に作曲され、5月13日にサン=サーンス自身のピアノ、友人のアントン・ルビンシテインの指揮によってパリで初演された。ルビンシテインはこの演奏会が指揮者としてのデビュー公演だった。しかし、この初演は不首尾に終っている。後年サン=サーンスは、初演の不首尾は練習時間の不足が原因であると告白しており、事実、作曲に着手してわずか3週間で初演に漕ぎつけている。

初演当時、このピアノ協奏曲の各楽章は音楽的コントラストが非常に顕著であるとの指摘があり、あるピアニストは「J.S.バッハに始まり、オッフェンバックに終わる」と皮肉っぽく評した。しかし、フランツ・リストはこのピアノ協奏曲を高く評価した。そのためか、やがてこの作品はサン=サーンスの代表作の一つとして数えられ、今日では第2番は第4番と並んで、サン=サーンスが作曲したピアノ協奏曲の中では最も人気が高い作品となっている。

3楽章の構成で、演奏時間は約24分。ただし伝統的な協奏曲の3楽章構成とは異なり、楽章ごとに指定テンポが速くなっていくように書かれている。

第1楽章 アンダンテ・ソステヌートト短調、4分の4拍子。ソナタ形式。バロック音楽を思い起こさせる即興的なカデンツァに始まる。フランス風序曲を模した管弦楽の和音によって主部が始まり、第一主題と第二主題はともにピアノに提示される。再現部は管弦楽による第一主題の再現に、ピアノの長大なカデンツァが続く。最後に序奏が短く再現され、劇的に終わる。アルフレッド・コルトーによると、この楽章の第一主題はガブリエル・フォーレの(おそらく破棄された)合唱曲「タントゥム・エルゴ」から引用されたものだという。

第2楽章 アレグロ・スケルツァンド変ホ長調、6分の8拍子。ソナタ形式で書かれたスケルツォ風の軽妙な楽章。ピアノが、洗練そのものといった風情を見せつつ、滑るような軽走を聴かせる。第一主題はフレデリック・ショパンの「スケルツォ第4番」との関連が指摘されている。

第3楽章 プレストト短調、2分の2拍子。再びソナタ形式をとる。タランテラ風の動きの激しい終曲で、前の楽章より管弦楽の役割が増し、響きに厚みがある。展開部では第二主題に由来するトリル音形が徹底的に敷衍される。規模の大きいコーダまで音楽の勢いは衰えず、ト短調の主和音を強調して終わる。

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