サン=サーンス:チェロ協奏曲 第1番 イ短調 作品33

指揮:ワルター・ジュスキント Walter Susskind
フィルハーモニア管弦楽団 Philharmonia Orchestra
チェロ: ピエール・フルニエ: Pierre Fournier Sep. 1947

 

チェロ協奏曲第1番 イ短調 作品33は、カミーユ・サン=サーンスが作曲した2曲のチェロ協奏曲のうちの第1作。

この曲は壮年期の1872年に書き上げられた。前後してオペラ『サムソンとデリラ』、ピアノ協奏曲第4番、4曲の交響詩などの傑作が生まれている。1873年1月19日、パリ音楽院にてオーギュスト・トルベック独奏により初演された。独奏者はパリ音楽院のチェロ教授であり、本作が献呈されている。1902年に作曲された第2番は、作曲家としての経験を一層積んだ老年期の作品であるが、第1番ほどの評価を得られず、今日ではほとんど演奏されない。単にサン=サーンスのチェロ協奏曲というと、もっぱら第1番のほうを指す。

チェロ協奏曲において全3楽章が切れ目なく演奏されるという手法は、既にシューマンの協奏曲で行われているが、サン=サーンスの場合はかなり徹底していて、全体が3つの部分からなる単一の楽章となっている。また各部の構成にも、伝統的な形式に縛られない創意を見ることができる。

単一楽章で、以下の3部構成である。演奏時間は18分程度。

第一部 アレグロ・ノン・トロッポ-アニマート-アレグロ・モルト-テンポ・プリモ、イ短調、2分の2拍子
自由なソナタ形式。オーケストラの一撃に続き、独奏チェロが三連符を中心にした第一主題を力強く奏でる。ゆるやかな第二主題もチェロによって奏される。再現部は極端に圧縮され、第二主題が原調で再現されると終止しないまま次の部分に移る。
第二部 アレグレット・コン・モート、変ロ長調、4分の3拍子 三部形式。
弦楽の弱奏から始まる、軽快なメヌエット風の部分。主部の再現の直前にはチェロの短いカデンツァがはさまれる。
第三部 テンポ・プリモ-アン・プゥ・モワン・ヴィト-ピウ・アレグロ-モルト・アレグロ、イ短調、2分の2拍子
第一部の第一主題が回帰して始まり、全体としてはこの主題を両端に置いたアーチ構造をとる。コーダには第一部の小結尾に現れた主題も再現され、全曲の統一を強める。

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