サン・サーンス:組曲「動物の謝肉祭」"Carnival of the Animals"

シアトル青少年交響楽団 Seattle Youth Symphony Orchestra (SYSO)

作曲家 カミーユ・サン=サーンス(1835-1921)は、1886年、オーストリアの美しい小さな村で休暇を過ごしているときに『動物の謝肉祭(Le Carnaval des Animaux)』を作曲しました。14の楽章からなり、それぞれの楽章には動物が登場します

全部で14曲からなり、元来は室内楽編成用として作曲されたものである。1886年にチェリスト、シャルル・ルブーク(英語版)の催すプライヴェートな夜会のために作曲された。初演はマルディグラの日である同年3月9日、オーストリアのクルディム(Chrudim)にて、サン=サーンス、ルイ・ディエメのピアノ、ルブークのチェロ、ポール・タファネルのフルートなどにより非公開で行われた。その後、同年内に2度非公開で演奏されたが、他の作曲家の楽曲をパロディにして風刺的に用いていること、プライヴェートな演奏目的で作曲されたいきさつなどの理由により、以降サン=サーンスは自身が死去するまで本作の出版・演奏を禁じた。ただし純然としたオリジナルである「白鳥」だけは生前に出版していた。

現在では、プロコフィエフの『ピーターと狼』やブリテンの『青少年のための管弦楽入門』と並ぶ、子供向け管弦楽曲の代表的作品としても人気がある。時に自由な物語を添え、語り付きで演奏することがある。

第1曲「序奏と獅子王の行進曲」 Andante maestoso - Allegro non troppo - piu allegro 4/4拍子 ハ長調 - イ短調
ピアノの耳をつんざくような反復奏に始まる。ついで、勇壮な「行進」が弦楽器のユニゾンで奏される。
第2曲「雌鶏と雄鶏」 Allegro moderato 4/4拍子 ハ長調
ピアノと弦楽器が鶏の鳴き声を模倣しあう。全35小節。
第3曲「騾馬」 presto furioso 4/4拍子 ハ短調
アジアロバであろうと言われる。ピアノの上り下りする強奏の音階。全28小節。
第4曲「亀」 Andante maestoso 4/4拍子 変ロ長調
弦楽器がのそのそとユニゾンでオッフェンバックの「天国と地獄の旋律をわざとゆっくり奏する。
第5曲「象」 Allegretto pomposo 3/8拍子 変ホ長調
コントラバスがもそもそと軽やかにワルツを奏する。ベルリオーズの「ファウストの劫罰」の「妖精のワルツ」、メンデルスゾーンの「夏の夜の夢」の「スケルツォ」が重低音で組み入れられている。全52小節。
第6曲「カンガルー」 Moderato 4/4拍子、3/4拍子 ハ短調
装飾の付いた和音が上下して、飛び回るカンガルーを描写する。
第7曲「水族館」 Andantino 4/4拍子 イ短調
グラスハーモニカの入った幻想的なメロディーに、分散和音のピアノ伴奏が添えられている。
第8曲「耳の長い登場人物」(Personnages a longues oreilles)Tempo ad lib 3/4拍子 ハ長調
おそらくは驢馬、アジアロバでない驢馬。のどかな驢馬の鳴き声をヴァイオリンが模倣する。サン=サーンスの音楽に嫌味な評価を下していた音楽評論家への皮肉と言われている。全26小節。ヴァイオリン2
第9曲「森の奥のカッコウ」(Le coucou au fond des bois) Andante 3/4拍子 ホ長調
クラリネットがカッコウの鳴き声を模倣する。全43小節。ピアノ協奏曲第2番の第3楽章の一部から和声進行がそのまま引用される。 クラリネット、ピアノ2
第10曲「大きな鳥籠」(Voliere)Moderato grazioso 3/4拍子 ヘ長調
弦楽器のトレモロによる伴奏の上を、フルートが軽やかに飛び回る。全31小節。
フルート、ピアノ2、ヴァイオリン2、ヴィオラ、チェロ、コントラバス
第11曲「ピアニスト」(Pianistes) Allegro moderato 4/4拍子 ハ長調 - 変ニ長調 - ニ長調 - 変ホ長調 - ハ長調
わざとへたくそに、ピアノの練習曲を弾く。最後は明確な区切りもなく、そのまま次の曲へ入る。全30小節。
ピアノ2、ヴァイオリン2、ヴィオラ、チェロ、コントラバス
第12曲「化石」(Fossiles) Allegro ridicolo 2/2拍子 ト短調
自作『死の舞踏』の「骸骨の踊り」の旋律、ロッシーニの『セビリアの理髪師』から「ロジーナのアリア」(Una voce poco fa)、その他「大事なタバコ」(J'ai du bon tabac)、「きらきら星」(Ah vous dirais-je maman)、「月の光に」(Au clair de la lune)、「シリアへ旅立ちながら」(En partant pour la Syrie)などのフランス民謡が組み合わされる。全74小節。
ピアノ2、クラリネット、シロフォン、ヴァイオリン2、ヴィオラ、チェロ、コントラバス
第13曲「白鳥」(Le cygne) Andantino grazioso 6/4拍子 ト長調
全14曲中最も有名な曲で、チェロ独奏曲として有名な曲。生前の公開演奏と楽譜出版が許された唯一の曲でもある。全28小節。バレエ『瀕死の白鳥』は、ミハイル・フォーキンがこの曲に振付を施した作品である。
チェロ、ピアノ2 本来はピアノ2台を含む編成であるが、単独出版は第2ピアノが割愛されたチェロとピアノ1台の形で発表されており、この編成で演奏されることも多い。
第14曲「終曲」(Final) Molto allegro 4/4拍子 ハ長調
カーテンコール。軽快な主題[3]に乗せて、それまでの各曲の旋律が登場する。全91小節。
ピッコロ、クラリネット、グラスハーモニカ、シロフォン、ピアノ2、ヴァイオリン2、ヴィオラ、チェロ、コントラバス

サン・サーンス:組曲「動物の謝肉祭」

inserted by FC2 system