ラフマニノフ:ピアノ三重奏曲 第1番 『悲しみの三重奏曲』(Trio Elegiaque)

エメラルド・ピアノ・トリオ Emerald Piano Trio
 Aleksandr Snytkin, violin | Marie-Thais Levesque Oliver, violoncello | Anastasia Markina, piano
recorded live at:Northridge Presbyterian Church Dallas, Texas March 4, 2012

『悲しみの三重奏曲』(Trio Elegiaque)は、セルゲイ・ラフマニノフが初期に作曲した2つのピアノ三重奏曲。モスクワ音楽院在籍中の1892年に完成された、単一楽章によるト短調の作品と、卒業後の1893年に作曲されたニ短調による作品がある。前者はラフマニノフの存命中に出版されることがなく、長らく忘れられていたが、現在では前者を「第1番」、後者を「第2番」というように呼び分けている。

第1番
1891年1月18日から21日にかけてモスクワで作曲され、1月30日に作曲者のピアノとダヴィット・クレインのヴァイオリン、友人アナトーリー・ブランドゥコーフのチェロによって初演された。ラフマニノフ19歳のときの若書きの作品でありながら、超絶技巧を駆使したピアノ・パートにおいて、多様多彩な音色を操る能力が早くも発揮されている。だが、1947年になるまで出版されず、作品番号も付されていない。

ほとんどのピアノ三重奏曲とは異なり、単一楽章の作品である。古典的なソナタ形式を踏んではいるものの、呈示部はそれ自体が12のエピソードの羅列で形成されており、興味深いことに、作品全体のテンポ設定は、展開部をはさんでほぼ逆順になっている。この限りにおいて作品は、全体を通じてシンメトリーを形作っている。

第1部では、ピアノの「慟哭のレント Lento lugubre 」に始まり、チェロとヴァイオリンに悲歌が引き継がれるが、曲想は常にうつろいがちである([Lento Lugubre - ] piu vivo - con anima - appassionato - tempo rubato - risoluto )。レント主題は再現部で型通りの再登場をした後で、最後に葬送行進曲として(Alla marcia funebre )再現される。

「悲しみの三重奏曲」を作曲した動機も、その題名のゆえんも定かでないが、全体を貫く哀調と、肥大化された楽曲構成、葬送行進曲による締め括りから、チャイコフスキーの《偉大な芸術家の想い出》の第1楽章を手本にしたことは間違いない。

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