ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 作品18

指揮:アルヴォ・ヴォルメル Arvo Volmer
エストニア国立交響楽団 Estonian National Symphony Orchestra
ピアノ:ダリア・パルホーメンコ Daria Parkhomenko(1991年4月28日生まれのロシアの女性ピアニスト)
Tallinn(タリン:エストニア共和国の首都) International Piano Competition 2016

ピアノ協奏曲 第2番の作曲時期は、1900年秋から1901年4月。第2楽章と第3楽章が1900年12月2日に初演された後、全曲初演は1901年10月27日に、ソリストに再び作曲者を、指揮者には従兄アレクサンドル・ジロティを迎えて行われた。その屈指の美しさによって、協奏曲作家としての名声を打ち立てたラフマニノフの出世作である。発表以来、あらゆる時代を通じて常に最も人気のあるピアノ協奏曲のひとつであり、ロシアのロマン派音楽を代表する名曲の一つに数えられている。
多くのラフマニノフのピアノ曲と同じく、ピアノの難曲として知られ、きわめて高度な演奏技巧が要求される。たとえば第一楽章冒頭の和音の連打部分において、ピアニストは一度に10度の間隔に手を広げることが要求されており、手の小さいピアニストの場合はこの和音塊をアルペッジョにして弾くことが通例となっている 伝統的な3楽章構成である。
 
第1楽章 Moderato ハ短調 2分の2拍子 自由なソナタ形式
主題呈示部に先駆けて、ピアノ独奏がロシア正教の鐘を模した、ゆっくりとした和音連打を、クレシェンドし続けながら打ち鳴らす。導入部がついに最高潮に達したところで主部となる。
弦楽器より呈示される第1楽章第1主題
主部の最初で、オーケストラのトゥッティがロシア的な性格の旋律を歌い上げるが、その間ピアノはアルペッジョの伴奏音型を直向きに奏でるにすぎない。この長い第1主題の呈示が終わると、急速な音型の移行句が続き、それから変ホ長調の第2主題が現れる。第1主題がオーケストラに現れるのに対し、より抒情的な第2主題は、まずピアノに登場する。(ちなみにピアノ独奏は、第1主題の伴奏音型から移行句まで、急速な装飾音型を奏で続ける。これらの音型は、しばしば鈴と誤解されやすいが、ロシア正教会の小さな鐘を模している)。
劇的で目まぐるしい展開部は、楽器法や調性を変えながら両方の主題の音型を利用しており、この間に新たな楽想がゆっくりと形成される。展開部で壮大なクライマックスを迎えると、恰も作品を最初から繰り返しそうになるが、再現部(Maestoso)はかなり違った趣きとなる。ピアノの伴奏音型を変えて第1主題の前半部分が行進曲調で再現された後、後半部分はピアノによって再現される。そして第2主題は移行句なしで再現され、入念にコーダを準備する。
第1楽章においてピアノ独奏は特異なことに、第1主題の主旋律の進行を、完全にオーケストラ、特に弦楽合奏に委ねている。ピアノの演奏至難なパッセージの多くが、音楽的・情緒的な必要性から使われており、しかも伴奏として表立って目立たないこともあり、聴き手にピアノの超絶技巧の存在を感付かせない。ピアノはオーケストラのオブリガート的な役割に徹することで、時には室内楽的な、時には交響的な印象を生み出すのに役立っている。
 
第2楽章 Adagio sostenuto ホ長調 4分の3拍子 序奏つきの複合三部形式
波瀾万丈の第1楽章が終わると、それとは好対照をなす緩徐楽章が始まりを告げる。弦楽合奏の序奏は、ハ短調の主和音から、クレシェンドしながら転調し、ホ長調のピアノ独奏を呼び入れる。このピアノによるアルペッジョは1891年に作曲された六手のピアノのための「ロマンス」の序奏から採られている。やがてこのアルペッジョに乗せて木管楽器によって甘美な旋律が歌われてゆく。ピアノを主体とした中間部のスケルツォを経て、再現部(ただし非常に短く、コーダとも看做せる)では弦楽合奏が主旋律を牽引する。
 
第3楽章 Allegro scherzando ハ短調~ハ長調 2分の2拍子
最初に聞こえるホ長調の旋律は、循環形式によって第1楽章から引き出されている。その後の主たる楽想は明確な2つの対照的な主題を持ちながらも、前楽章で用いられたモチーフを断片的に使ったり、2つの主題を融合するなど、既存の形式にこだわらない自由な書法で書かれている。副主題をもつ変奏曲、あるいは変則的なロンドとも解釈することが出来る。
スケルツォ的な気まぐれな性格が認められる第1主題と、より抒情的な第2主題が交互に現れ、最後のピアノのカデンツァの後にハ長調で全合奏(Maestoso)で二つの主題が融合されて盛り上がるシーンは圧巻で、高い演奏効果をもたらす。

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番

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