ラフマニノフ:ピアノ三重奏曲 第2番 『悲しみの三重奏曲』(Trio Elegiaque)

ピアノ:Leonid Shapovalov   ヴァイオリン:Sergiy Toporenko  チェロ:Sergiy Kazakov

 

ピアノ三重奏曲 第2番は、1893年11月にチャイコフスキーの訃報を受け、それからわずか1ヵ月あまりの12月15日に完成された。翌1894年の1月末日に、ラフマニノフ自身のピアノ、ユーリ・コニュスのヴァイオリン、アナトーリ・ブランドゥコーフのチェロによりモスクワにて初演。
故人を偲んでピアノ三重奏曲ないしは室内楽を作曲するという発想は、チャイコフスキー自身によって確立され、アレンスキーがそれに続いたが、ラフマニノフも本作によってその伝統を受け継ぎ、後のショスタコーヴィチやシュニトケに先鞭を付けたと見ることができる。以下の3楽章によって構成されている。

第1楽章:モデラート
第2楽章:クヮジ・ヴァリアツィオーニ
第3楽章:アレグロ・リゾルート

第1楽章は、厳粛な調子を帯びて始まり、終結部に近づくや烈しく炸裂する。
第2楽章は第1主題に基づく変奏曲である(この主題は、チャイコフスキーが初演を約束しながら急死により果たせなかった《岩》の主題に類似している)。
終楽章は短いながらも、雄渾多感なピアノの表現力に支配されている。楽曲構成は明らかに、チャイコフスキーの《偉大な芸術家の思い出に》に類似している。
1907年、1917年に改訂された。1907年版では第2楽章を中心に手が加えられており、1917年版では小規模なカットが施された。1917年版は作曲差の生前には出版されず、1950年にゴリデンヴェイゼルの校訂により出版された。ちなみに、ゴリデンヴェイゼル自身もラフマニノフを追悼して《ピアノ三重奏曲》ホ短調作品31を1953年に作曲している。

Sergei Rachmaninoff's Trio elegiaque in D minor, Opus 9

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