マーラー:交響曲 「大地の歌」 "Das Lied von der Erde"

指揮:ブルーノ・ワルター Bruno Walter
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 Vienna Philharmonic Orchestra
コントラルト: キャスリーン・フェリア Kathleen Ferrier
テノール:ユリウス・パツァーク Julius Patzak
Rec. 15-16 May 1952, in Vienna (Live Recording)

  

『大地の歌』(Das Lied von der Erde )は、グスタフ・マーラーが1908年に作曲した、声楽(2人の独唱)を伴う交響曲。連作歌曲としての性格も併せ持っている。 「大地の歌」というメインタイトルに続き、副題として「テノールとアルト(またはバリトン)とオーケストラのための交響曲」(Eine Symphonie fur eine Tenor und Alt (oder Bariton) Stimme und Orchester )とあり、通常マーラーが9番目に作曲した交響曲として位置づけられるが、連作歌曲としての性格も併せ持っており、「交響曲」と「管弦楽伴奏による連作歌曲」とを融合させたような作品であるといえる。このため、交響曲としてはかなり破格の存在であり、「9番目の交響曲」であるという点も影響してか、マーラーは「第○番」といった番号を与えなかった。
作曲は1908年。6楽章からなり、テノールとアルトが交互に独唱をつとめる。歌詞は、李白らによる唐詩に基づき、ドイツの詩人・翻訳家のハンス・ベートゲ(1876年1月9日 - 1946年2月1日)が自由に翻訳・編集した詩集『中国の笛』から7編の詩を選び、これをマーラー自身が適宜改変したものによっている。

第1楽章「大地の哀愁に寄せる酒の歌」 アレグロ・ペザンテ イ短調 3/4拍子
詩は李白「悲歌行」に基づくが、自由に改変されている。テノール独唱。
ホルンの斉奏で始まり、劇的でペシミスティックな性格が打ち出されている。歌詞は3節からなり、各節は「生は暗く、死もまた暗い」という同じ句で結ばれる。この句は最初はト短調、2回目に変イ短調、3回目にはイ調(長調と短調の間を揺れ動く)と半音ずつ上昇して強調されている。

第2楽章「秋に寂しき者」 やや緩やかに、疲れたように ニ短調 3/2拍子
詩は銭起「效古秋夜長」とされてきたが、近年は疑問視されており、張籍もしくは張継との説がある(これについては第2楽章「秋に寂しき者」の問題を参照)。ソナタの緩徐楽章のようである。アルト独唱。

第3楽章「青春について」 [編集]和やかに、明るく 変ロ長調 2/2拍子
詩は李白「宴陶家亭子」に基づく。テノール独唱。ピアノ稿の題名は「陶製の亭」であり、ベートゲの題名をそのまま使っている。ベートゲは原詩の「陶家」(陶氏の家)を「陶器の家」と誤訳している。
音楽は五音音階を用いて東洋的な雰囲気を醸し出している。

第4楽章「美について」 [編集]コモド・ドルチッシモ ト長調 3/4拍子
詩は李白「採蓮曲」に基づく。アルト独唱。ピアノ稿の題名は「岸辺にて」であり、ベートゲの題名をそのまま使っている。蓮の花を摘む乙女を描く甘美な部分と馬を駆ける若者の勇壮な部分が見事なコントラストを作っている。

第5楽章「春に酔える者」 [編集]アレグロ イ長調 4/4拍子
詩は李白「春日酔起言志」に基づく。唐詩の内容に最も忠実とされる。
ここでも管弦楽の間奏部分などに五音音階が顕著に用いられている。

第6楽章「告別」 [編集]重々しく ハ短調 4/4拍子 拡大されたソナタ形式。アルト独唱。
詩は前半部分が孟浩然の「宿業師山房期丁大不至」、後半部分が王維の「送別」によっている。ベートゲの詩は唐詩に忠実だが、マーラーが2つの詩を結合させた上、自由に改変、追加している。
曲の最後は「永遠に」の句を繰り返しながらハ長調の主和音(ハ-ホ-ト)に至るが、和音に音階の第6度音のイ音が加えられて(ハ-ホ-ト-イ)となっているため、ハ長調ともイ短調ともつかない、閉じられない印象を残す。マーラーはこの部分にGanzlich ersterbend (完全に死に絶えるように)と書き込んでいる。
この楽章だけで演奏時間30分弱もかかるので歌曲集としては異常に長い。

マーラー:交響曲 「大地の歌」 『ウィキペディア(Wikipedia)』

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