マーラー:歌曲集「さすらう若人の歌」"Lieder eines fahrenden Gesellen"

指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット Herbert Blomstedt
グスタフ・マーラー・ユーゲント管弦楽団 Gustav Mahler Jugendorchester
バリトン: クリスティアン・ゲルハーヘル Christian Gerhaher
Live recording at the Royal Albert Hall for the BBC Proms on September 1st 2010

「さすらう若人の歌」(独語:Lieder eines fahrenden Gesellen )は、グスタフ・マーラーの歌曲集のうち、統一テーマによって作曲された最初の連作歌曲集である。低声とピアノ(もしくはオーケストラ)伴奏のために作曲されている。マーラー自身の悲恋に触発されて作曲されたものと広く信じられてきた。マーラーの最も有名な作品の一つとなっている。

第1曲「恋人の婚礼の時」 Wenn mein Schatz Hochzeit macht
男は、恋人を失った悲しみを他人に打ち明けている。男は世界の美しさについて語るが、それは悲しい夢から自分を目覚めさせてはくれないのだ。オーケストラの質感は、ダブルリードや弦楽器の多用によって、甘く切ない。

第2曲「朝の野を歩けば」 Ging heut' morgens ubers Feld
曲集中で最も陽気な楽曲。実際にも歌われているのは、鳥のさえずりや牧場のしずくのような何気ないものの中で、美しい自然界を練り歩く喜びであり、「これが愛すべき自然ではないというのか?」という自問自答がルフランで繰り返される。しかしながら、男は最後になって、恋人が去ってしまった以上、自分の幸せが花開くこともないのだと気づいてしまう。管弦楽伴奏版は、繊細な音色操作が行われ、高音域で弦楽器やフルートが利用され、トライアングルもかなり活用されている。この曲の旋律は交響曲第1番の第1楽章にも利用された

第3曲「僕の胸の中には燃える剣が」
絶望の表現に満たされている。主人公は、失った恋人が自分の心臓に鋼のナイフを突き立てたという思いに苦しんでいる。主人公は、身の回りのすべてのものが恋人を連想させるというほどに、明らかに執念にとり憑かれており、自分にナイフがあればよいとさえ願う。音楽は濃密かつ感動的で、主人公の妄執の悩ましさに一致している。

第4曲「恋人の青い瞳」
明らかに解決の楽章である。控えめで穏やかで叙情的で、和声法はしばしばコラール風である。恋人のまなざしの面影にどんなに自分が苦しめられたか、もう耐えられないほどだと歌われている。男は菩提樹の木陰に横たわり、何事も起こらなければよい、万事好転すればよい(「何もかも。恋も、悲しみも、世界も、夢も!」)と願いながら、花びらが体の上に覆いかぶさるのに任せる。この曲の旋律も交響曲第1番の第3楽章に転用された。

さすらう若人の歌(マーラー)

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