フォーレ: シシリエンヌ Sicilienne ト短調 作品78

Olga Zmanovskaya, flute
Elizaveta Bushueva, harp.

シシリエンヌ(Sicilienne)ト短調、6/8拍子は、ガブリエル・フォーレが作曲した劇付随音楽『ペレアスとメリザンド』(Pelleas et Melisande)の第5曲。第2幕でペレアスとメリザンドが泉のほとりで戯れる場面の前奏曲として演奏された。

A-B-A-C-A-Codaの小ロンド形式で、有名なA部ではハープの分散和音に乗ってフルート独奏が付点リズムの特徴ある旋律を奏する。この曲の作曲は1893年であり、本来は、未完となった『町人貴族』のために作曲されたものである。組曲版では、この曲のみケクランのオーケストレーションがそのまま使われている。
フォーレは、この曲をチェロとピアノのデュオ用に作品78として既に出版していた。組曲版の速度表示はAllegretto molto moderatoであるが、チェロとピアノのものはAndantinoとなっており、組曲版よりやや遅めである。
フォーレのシシリエンヌ(シシリアーノ、あるいはシチリア舞曲)として名高く、ピアノと独奏楽器のデュオに編曲されるなど独立して演奏されることも多い。

シチリアーナ(イタリア語:siciliana)とは、ルネサンス音楽末期から初期バロック音楽に遡る舞曲の一つ。ゆるやかな8分の6拍子か8分の12拍子で作曲され、ためらいがちにたゆとう曲想と付点リズムが特徴的で、通常は短調(もしくは自然短音階)をとる。器楽曲の楽章として利用されただけでなく、オペラ・アリアにも応用されている。シチリアーナは、おそらく「シチリア舞曲 danza siciliana」ないしは「シチリア風に A la Siciliana」に由来する女性名詞であるが、男性名詞であるシチリアーノ(siciliano)や、フランス語の女性名詞・シシリエンヌ(Sicilienne)も用語法として定着している。

inserted by FC2 system