フォーレ: ペレアスとメリザンド Pelleas et Melisande 管弦楽組曲 作品80

指揮: フランソワ・ルルー Francois Leleux
hr-Sinfonieorchester
hr-Sendesaal , 12. Mai 2017

(Auftritt) 00:00
I. Prelude (Vorspiel). Quasi Adagio 00:35
II. Fileuse (Spinnerlied). Andantino quasi Allegretto 07:43
III. Sicilienne (Sizilianisches Lied). Allegretto molto moderato 10:05
IV. La mort de Melisande (Melisandes Tod). Molto Adagio 13:56

『ペレアスとメリザンド』(Pelleas et Melisande)は、ガブリエル・フォーレが作曲した劇付随音楽、およびその抜粋による管弦楽組曲(作品80)。現在では、組曲による演奏が一般的である。

管弦楽組曲 作品80
1898年から1900年秋にかけて、フォーレは『ペレアスとメリザンド』の付随音楽から「前奏曲」「糸を紡ぐ女」「メリザンドの死」の3曲を選んで管弦楽用の組曲とした。このとき、ケクランによるオーケストレーションに手を入れ、オリジナルの室内オーケストラ用から二管編成用に拡大した。

組曲版は1901年2月3日、カミーユ・シュヴィヤール指揮コンセール・ラムルー管弦楽団によって初演された。フォーレはこの初演が不満だったらしく、妻に宛てた手紙に「糸を紡ぐ女はとにかく速すぎる。」と書いている。しかし、「糸を紡ぐ女」は好評で、初演時にアンコールされている。その後、さらに「シシリエンヌ」「メリザンドの歌」の2曲を加えて5曲編成とした。現在ではこの組曲がもっぱら演奏されるが、「メリザンドの歌」のみが声楽入りであるため、この曲を外した4曲構成もよく見られる。また、オリジナルの劇付随音楽からの小品を適宜加えた形でも演奏されることがある。フォーレの他の作品と同様、演奏効果の点では地味だが、内容的な充実からして中期を代表する傑作といえる。
組曲版は、フォーレの理解者であり、当時盛んであったサロンの主催者でもあった、エドモン・ド=ポリニャック公爵夫人に献呈された。

組曲の構成「シシリエンヌ」を除く各曲は、動機的に密接につながっている。

前奏曲(Prelude)
ト長調、3/4拍子、Quasi adagio。劇付随音楽の第1曲。弦楽によってメリザンドを表す主題が静謐な表情で歌われる。後半にゴロー(メリザンドの夫)を暗示する角笛の響きが聴かれる。
糸を紡ぐ女(Fileuse)
ト長調、3/4拍子、Andantino quasi allegretto。劇付随音楽では第10曲。第3幕でメリザンドが糸を紡ぐ場面の音楽。弦による6連音の細かい音型に乗って、オーボエが可憐な歌を歌う。後の歌劇『ペネロープ』第1幕の最初の糸紡ぎの女たちの場面で、よく似た音楽が聴かれる。
メリザンドの歌(Chanson de Melisande)
ニ短調、3/2拍子、Lent。劇付随音楽では第11曲。「糸を紡ぐ女」に続く、ソプラノあるいはメゾソプラノ独唱による「王の3人の盲目の娘たち」(The King's three blind daughters)の歌(歌詞は英語)。
シシリエンヌ(Sicilienne)
ト短調、6/8拍子。劇付随音楽の第5曲。第2幕でペレアスとメリザンドが泉のほとりで戯れる場面の前奏曲として演奏された。A-B-A-C-A-Codaの小ロンド形式で、有名なA部ではハープの分散和音に乗ってフルート独奏が付点リズムの特徴ある旋律を奏する。この曲の作曲は1893年であり、本来は、未完となった『町人貴族』のために作曲されたものである。組曲版では、この曲のみケクランのオーケストレーションがそのまま使われている。フォーレは、この曲をチェロとピアノのデュオ用に作品78として既に出版していた。組曲版の速度表示はAllegretto molto moderatoであるが、チェロとピアノのものはAndantinoとなっており、組曲版よりやや遅めである。フォーレのシシリエンヌ(シチリアーナ、あるいはシチリア舞曲)として名高く、ピアノと独奏楽器のデュオに編曲されるなど独立して演奏されることも多い。
メリザンドの死(La Mort de Melisande)
ニ短調、3/4拍子、Molto adagio。劇付随音楽の第17曲。第5幕への前奏曲として、メリザンドの死を予告する葬送の音楽。

inserted by FC2 system