ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲 第1番 ト短調 作品26

指揮: エリアフ・インバル Eliahu Inbal
RAI(イタリア放送協会)国立交響楽団 Orchestra Sinfonica Nazionale della RAI
ヴァイオリン:諏訪内 晶子 Akiko Suwanai

《ヴァイオリン協奏曲 第1番 ト短調》作品26は、マックス・ブルッフの作品。1864年に着手され、1867年に完成し、友人のヨーゼフ・ヨアヒムに献呈された。数あるヴァイオリン協奏曲の中でも最も愛好される作品の一つで、ブルッフの数多ある作品の中でも現在まで最も頻繁に演奏される作品となっている。

この協奏曲は、作曲者自身がカデンツァを挿入することもしていなければ、独奏者が独自のカデンツァを挿入することも許していない。ブルッフはほかにも2曲のヴァイオリン協奏曲を作曲し、さらにいくつかの協奏的作品を残しているが、ブルッフの最も有名なヴァイオリン協奏曲は本作である。
3楽章からなる。演奏時間はおよそ25分
形式は創意に富み、第2楽章に重点が置かれているほか、明確なカデンツァは置かれていない。このためブルッフはこの作品を「幻想曲」と名付けることも考えていたが、ヨアヒムにルイ・シュポーアのヴァイオリン協奏曲第8番「劇唱の形式で」を引き合いに出して説得されている。

第1楽章 前奏曲、8分ー9分 アレグロ・モデラート Vorspiel: Allegro moderato - ト短調、4/4拍子。
当初「幻想曲風の序奏」("Introduzione quasi Fantasie")と題される案もあった比較的短い楽章。楽章の冒頭と終わりに独奏の技巧的なレチタティーヴォが置かれている。ティンパニのトレモロに木管が答えて始まり、低弦に現れる動機を中心に自由な展開を見せる。トゥッティの出番が少なくほぼ全体が独奏ヴァイオリンが支配する。第2楽章と直接アタッカでつながれていて、実際に第2楽章の前触れとしての役割を果たしている。

第2楽章 9分ー10分 アダージョ Adagio 変ホ長調、3/8拍子。
展開部を欠いたソナタ形式で、この曲の中心を置く最も長い楽章。第1楽章同様ほぼ独奏ヴァイオリンが支配する。ブルッフ一流の旋律美が存分に発揮されている。ヴァイオリンの歌う第一主題に始まり、第二主題は独奏のパッセージを背景に木管楽器によって歌われる。再現部は変形され、変ト長調の第一主題再現に始まって第二主題がクライマックスを作る。最後は静かに終える。

第3楽章 終曲、7分ー8分 アレグロ・エネルジコ Finale: Allegro energico ト長調、4/4拍子。ソナタ形式。
主題を予示するオーケストラの導入に始まり、ヴァイオリン独奏の重音奏法による熱狂的な主題が現れる。この主題はヨハネス・ブラームスのヴァイオリン協奏曲第3楽章冒頭主題との類似も指摘されている。第2主題はオーケストラに示される雄大なもので、ロマン派音楽の抒情性のすぐれた例となっている。

音楽の森 ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲

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