ブラームス:ヴァイオリン ソナタ 第3番 ニ短調 作品108

ヴァイオリン:パトリシア・コパチンスカヤ Patricia Kopatchinskaja (1977年、モルドヴァ生まれ)
ピアノ(YAMAHA): ファジル・サイ Fazil Say

 
ヴァイオリンソナタ第3番 ニ短調 作品108は、ヨハネス・ブラームスが作曲した3番目のヴァイオリンソナタ。第3番を最後としてブラームスはヴァイオリンソナタを作曲していない。
 
ヴァイオリンソナタ第2番を完成させた直後の1886年から1888年にかけて作曲されたものである。当時ブラームスは避暑地のトゥーン湖畔に滞在中で、悩みのない十分な生活を快適に過ごしていた。しかし1887年に友人で音楽学者のカール・フェルディナント・ポール(1819-1887)の訃報を受けると、孤独感などに苛まれるようになった。これらが反映されているためか、第3番は第2番とは異なり、晩年に見られるような重厚で内省的な作品となっている。これ以降ブラームスは諦観の感情を出すようになり、短調の作品を多く書くようになる。
 
1888年に脱稿後、ベルンに住んでいた親友で詩人のヨーゼフ・ヴィクトール・ヴィトマンの邸宅でプライヴェートでの初演が行われた。ただしこの時の演奏者や日時は不明である。公的な初演は1888年の12月21日(22日とも)にブラームス自身のピアノ、ハンガリー出身のヴァイオリニストのイェネー・フバイによって、ブタペストで行われた。
1889年にベルリンのジムロック社から出版され、良き理解者であった指揮者のハンス・フォン・ビューローに献呈された。
第1楽章 アレグロ  ニ短調、4分の4拍子。ソナタ形式による楽章。
ヴァイオリンがロマン的でメランコリックな第1主題を奏で始めると、ピアノが右手と左手で穏やかなシンコペーションを奏し、効果を演出する。展開部は静かな情緒が見られ、終結部は静謐に終える。
 
第2楽章 アダージョ  ニ長調、8分の3拍子。3部形式によるカヴァティーナ風の穏やかな楽章。ゆったりとしたテンポでG線のヴァイオリンで奏でる柔和な歌に始まり、抒情性豊かに歌われる。
 
第3楽章 ウン・ポコ・プレスト・エ・コン・センティメント  嬰ヘ短調、4分の3拍子。3部形式によるスケルツォ風(2拍子)の楽章。嬰ヘ短調と悩ましげに始められ、ホ短調になるとますます憂愁になり、暗い情感が全体を覆う。また冒頭の重音の音型が後半で反復される際はピツィカートに変えられる。
 
第4楽章 プレスト・アジタート  ニ短調、8分の6拍子。ロンド・ソナタ形式による。
これまでの憂愁な雰囲気や感情を払いのけるかのように、激しい響きの重音で開始する。また最も技巧的に書かれ、これまでのヴァイオリンソナタには見られない。終結部は最強音で曲を終える。第1楽章と同じく、シンコペーションが効果的に使用されている。

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