ブラームス:交響曲 第4番 ホ短調 作品98 第4楽章

指揮:小澤 征爾 Seiji Ozawa
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 Vienna Philharmonic Orchestra

第1楽章 第1-2楽章 第2楽章 第3楽章 第4楽章

 

第4楽章 アレグロ・エネルジーコ・エ・パッショナート ホ短調。3/4拍子。
バスの不変主題の上に、自由に和音と旋律を重ねるシャコンヌ(一種の変奏曲)。管楽器で提示されるこのシャコンヌ主題は8小節で、先に述べたとおり、バッハのカンタータから着想されたといわれる。楽章全体はこの主題と30の変奏及びコーダからなる。解釈上いくつかの区分けが考えられるが、ここでは、30の変奏をソナタ形式に当てはめた解釈によって記述する。

1.シャコンヌ主題 主音から出発して属音まで6つ上昇、オクターブ下降して主音に戻るという、E-F♯-G-A-A♯(B♭)-B(H)↑ーB(H)↓-Eの8つの音符からなる(上記のバッハの主題とは、A♯以外一致する)。注目すべきことに、シャコンヌ(またはパッサカリア)の通例とは異なり、旋律主題がバスではなく高音域に置かれている。Ⅳ度の和音に始まり、和声進行は定型通りではなく、属和音も5度音が下方変位させてあり、最後の和音は長調となるピカルディー終止。

2.提示部-第1-15変奏 第1主題相当部-第1-9変奏 経過部-第10-11変奏
第2主題相当部-第12-15変奏 ここでは3/2拍子に変わり、テンポが半分に遅くなる。第12変奏で印象的なフルート・ソロが聴かれる。第13変奏でホ長調に転調し、第14変奏と第15変奏では、管楽器によるサラバンド風の慰めるような歩みとなる。

3.展開部-第16-23変奏 第16変奏で冒頭のシャコンヌ主題が再現し(和声付けは異なる)、
ここから後半部にはいる。第23変奏でシャコンヌ再び主題の形がはっきり現れてくる。

4.再現部-第24-30変奏 第24変奏から第26変奏までは、第1変奏から第3変奏までの再現で、より劇的。最後の2つの変奏(第29及び第30変奏)では下降3度音程の連続によって、第1楽章第1主題が暗示される。

5.コーダ ピウ・アレグロに速度を速め、さらに緊張を高めてⅤ→Ⅰの劇的なカデンツで終結を告げる。

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