ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲 作品56b Variations on a Theme by Haydn

2台のピアノ版
1. マルタ・アルゲリッチ Martha Argerich
2. ダニエル・リベラ Daniel Rivera
Concerto inaugurale al Teatro Petrarca di Arezzo del 16 dicembre 2015

 

《ハイドンの主題による変奏曲》(ドイツ語:Variationen uber ein Thema von Haydn)は、《ハイドン変奏曲》の略称や、《聖アントニウスのコラールによる変奏曲》の別称でも親しまれているヨハネス・ブラームスの作品。1873年に作曲された。先に2台ピアノ版が完成されたが、こちらが作品56bとされた。一般には、管弦楽版の作品56aが有名である。

ブラームスは1870年に、友人でウィーン楽友協会の司書、カール・フェルディナント・ポールから、当時はハイドン作とされていた《ディヴェルティメントHob.II.46》の写譜を示された。その第2楽章は「聖アントニウスのコラール」と題されていた。ブラームスが変奏曲の主題に用いたのがこれである。
近年の研究によって、ディヴェルティメントそのものがハイドン作でないか(イグナツ・プライエル作という説がある)、ディヴェルティメントがハイドン作であっても主題であるコーラルはハイドン作のものではなく、古くからある賛美歌の旋律を引用したものと考えられているため、最近は《聖アントニウスのコラールによる変奏曲》と呼ぶ向きも見られるが、一般には《ハイドン変奏曲》との呼称が定着している。

 管弦楽版の作品56a
主題Andante 変ロ長調
序奏はない。10小節単位の楽節構造が特徴的な主題で始まる。すべての変奏は、ほぼ例外なく、主題の楽節構造に従っている。和声構造については、あまり厳密に従ってはいない。各変奏ははっきりした性格づけがされ、いくつかの変奏は、古い時代の音楽形式や作曲技法が使われている。
第1変奏Poco piu animato 変ロ長調
弦が中心で、対位法的な進行を見せる。
第2変奏Piu vivace 変ロ短調
木管が付点リズムの特徴的なメロディを奏でる。
第3変奏Con moto 変ロ長調
やはり木管が中心だが、のびやかである。
第4変奏Andante con moto 変ロ短調
オーボエとホルンのゆったりしたメロディが、二重対位法で進行する。
第5変奏Vivace 変ロ長調スケルツォ風の軽快な変奏。
第6変奏Vivace 変ロ長調
ピツィカートの上で、ホルンとファゴットがリズミカルにメロディを奏でる。
第7変奏Grazioso 変ロ長調
フルートの哀愁漂うメロディを、弦が引き継ぐ。
第8変奏Presto non troppo 変ロ短調
不気味に動き回る弱音弦の上に、木管が陰鬱な調べを乗せる。非常に不満足な形で終止して終曲に続く。
終曲Andante 変ロ長調
壮麗なパッサカリアで、これ自体がバッソ・オスティナートによる一種の変奏曲である。コラール主題を引き継いだ5小節単位のパッサカリア主題は19回変奏され、クライマックスでコラール主題が再呈示される。

ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲

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