ウェーバー: オペラ『オベロン』 Oberon 序曲

指揮: ベルナルト・ハイティンク Bernard Haitink
シュターツカペレ・ドレスデン Staatskapelle Dresden
Royal Opera House Covent Garden 01-12-1999

『オベロン、または妖精王の誓い』(Oberon, or The Elf King's Oath)J. 306は、カール・マリア・フォン・ウェーバーが作曲した全3幕から構成されるオペラ。台本はヴィーラントの叙事詩『オベロン』(ユオン・ド・ボルドーの伝説が元になっている)のジェームズ・プランチェ(James Planche)による英訳を基に、『夏の夜の夢』と『テンペスト』の内容を付け加えたもので、ドイツ語訳はテオドール・ヘルが担当した。 1826年4月12日に初演された2か月後の6月6日にウェーバーは帰国の途上中ロンドンで客死したため、事実上最後のオペラでもある。

本編に先立って演奏される序曲は特に有名で、この曲のみ演奏・録音がされる事が多い。『魔弾の射手』序曲と同じく劇中で用いられている主要な旋律を使って構成されている。またロマン的な世界観を暗示させるように、恋人たちによる熱烈な愛や妖精の世界、嵐や難破などが巧みに描写されている。
アダージョ・ソステヌートの序奏部(ニ長調、4分の4拍子)とアレグロ・コン・フォーコの主部(ニ長調、4分の4拍子)で構成され、ソナタ形式による。このソナタ形式は当時の慣例に従ったもの。演奏時間は約8分ないし9分程。

序奏部(アダージョ・ソステヌート)
冒頭に現れる独奏ホルンの柔和な主題は、オベロンの吹く魔法の角笛である。次いで弱音器を付けたヴァイオリンがこれに応答し、そして木管が軽やかな旋律を奏するが、これは妖精の国を暗示する。続く金管による荘重な行進曲風の律動はカール大帝の威厳を示したものという。序奏部は21小節まで。
主部(アレグロ・コン・フォーコ)
22小節目から全合奏によるニ長調の属和音が強く提示され、pからffへクレッシェンドする上行的な音型が第1主題である。この第1主題(23小節目)はオペラの四重唱「暗き青き水の上」を主題とする。39小節から経過部で、次第に高揚して頂点に達すると、弦楽が崩れるように急速に下降してディミヌエンドとなる。60小節目からはクラリネットによる優美な第2主題第1句があらわれる。この第1句はヒュオンの歌うアリアで、ヴァイオリンによって繰り返されると次はレーツィアのアリア「大洋よ、汝大いなる怪物よ」が第2主題第2句としてあらわれる(ここでもヴァイオリンによる)。101小節目からは展開部に入り、主として第1主題を処理する。164小節からは再現部で、第1主題の再提示で開始する。ただし第2主題第1句は続かず、管楽と弦楽による強奏で荒れ狂う海の嵐を表現したかのような第2句が出される。これに基づいてコーダに突入し、絶頂のうちに曲を終える。

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