シューマン:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 (遺作)

指揮:クリストフ・エッシェンバッハ Christoph Eschenbach
南西ドイツ放送交響楽団 SWR Symphonieorchester
独奏ヴァイオリン: パトリシア・コパチンスカヤ Patricia Kopatchinskaja
Livemitschnitt aus der Stuttgarter Liederhalle vom 26. Februar 2021

ロベルト・シューマンのヴァイオリン協奏曲ニ短調(遺作)は、ロマン派のヴァイオリン協奏曲の一つ。後述するように、作曲者の死後80年間忘れ去られていたが、ワーグナーを先取りしたような斬新な和声の使用など、その先見性により21世紀に入って何種類もの録音が行われるようになった。
なお、シューマンは本作以前にチェロ協奏曲イ短調 作品129を編曲してヴァイオリン協奏曲イ短調としている。

1853年9月下旬から10月初旬とわずか2週間程度で作曲された。ヨーゼフ・ヨアヒムの要請を受け、またシューマン自身もヨアヒムが弾くベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を聞いて感銘を受け、このヴァイオリン協奏曲ニ短調を書いた。 日本初演は1938年12月14日、新交響楽団第198回定期公演にて。ウィリー・フライのヴァイオリン、ヨーゼフ・ローゼンシュトックの指揮による。
演奏時間 約32分。しかし第3楽章はシューマンの指定よりも速いテンポで演奏されることが多い。

第1楽章 In kraftigem nicht zu schnellem tempo(力強く、速過ぎないテンポで) ニ短調、2/2。
複付点音符主体のフランス風序曲を思わせる第1主題が印象的な協奏風ソナタ形式。晩年にバッハを研究した跡が伺える。ヘ長調の第2主題の動機は全楽章に渡って用いられる。
第2楽章 Langsam(ゆっくりと) 変ロ長調、4/4。
シューマンらしいシンコペーションで始まる、間奏曲的な短い曲。この主題はシューマン曰く「夢の中で天使が現れ、歌った」とされるもの(後にこの主題を使用してピアノ作品「天使の主題による変奏曲」(遺作)を残す)。切れ目なく第3楽章へと続く。
第3楽章 Lebhaft doch nicht schnell(生き生きと、しかし速くなく) ニ長調、3/4、ロンド形式。
ポロネーズを思わせるリズミカルな曲調。

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