シューマン:ピアノ曲集 『謝肉祭』Carnaval 作品9

ピアノ: エミール・ナウモフ Emile Naoumoff
Live performance on June 23 2013

『謝肉祭』(Carnaval )作品9は、ドイツの作曲家ロベルト・シューマンが1834年から1835年に作曲したピアノ曲集。『子供の情景』作品15や『クライスレリアーナ』作品16と並ぶ、シューマンの代表的なピアノ曲で、初期の傑作として知られる。全部で20曲(21曲)からなる。
各々の曲のタイトルはフランス語に拠っており、シューマンの評論に出てくる架空の団体「ダヴィッド同盟」の構成員(フロレスタンとオイゼビウス)や、実在の音楽家(ショパン、パガニーニ)、後に妻となるクララなどが登場する。

演奏時間 約24分
1.Preambule. 前口上変イ長調 Quasi maestoso. - Piu mosso. - Presto. 3/4非常に堂々としたEs-F音の主題と不安をあおる中間部からなる。
2.Pierrot. ピエロ変ホ長調 Moderato. 2/4
3.Arlequin. 道化役者(アルルカン)変ロ長調 Vivo. 3/4
4.Valse noble. 高貴なワルツ変ロ長調 Un poco maestoso. 3/4
5.Eusebius. オイゼビウス変ホ長調 Adagio. - Piu lento. 2/4七連符が特徴的。
6.Florestan. フロレスタント短調 Passionato. - Adagio. 3/4『パピヨン』作品2の引用があり、楽譜には"Papillon(?)"と書かれている。
7.Coquette. コケット変ロ長調 Vivo. 3/4拍子
8.Replique. 返事(応答)ト短調 L'istesso tempo. 3/4(Sphinxes. スフィンクス)《 Es - C - H - A 》 《 As - C - H 》 《 A - Es - C - H 》の音を順番に長く伸ばす。
9.Papillons. 蝶々変ロ長調 Prestissimo. 2/4
10.A.S.C.H. - S.C.H.A. (Lettres dansantes) 躍る文字変ホ長調 Presto. 3/4
11.Chiarina. キアリーナハ短調 Prestissimo. 3/4キアリーナとはクララ・ヴィークのイタリア風の呼び名。
12.Chopin. ショパン変イ長調 Agitato. 6/4夜想曲風の左手伴奏と右手の単旋律からなる。
13.Estrella. エストレラヘ短調 Con affetto. - Piu presto. - Tempo I. 3/4「エストレラ」とはエルネスティーネのことである。
14.Reconnaissance. 回り逢い(再会)変イ長調 Animato. 2/4
15.Pantalon et colombine. パンタロンとコロンビーヌヘ短調 Presto. - Meno Presto. - Tempo I. 2/4
16.Valse allemande ワルツ・アルマンド(ドイツ風ワルツ)変イ長調 Molto vivace. 3/4クララの「ロマンティックなワルツ」作品4が引用されている。
17. INTERMEZZO. (Paganini.) 間奏曲(パガニーニ)ヘ短調 Presto. - Tempo I., ma piu vivo. 2/4「ワルツ・アルマンド」の中間部である。跳躍が多く、演奏困難な曲。
18.Aveu. 告白ヘ短調 Prestissimo. 2/4
19.Promenade. プロムナード変ニ長調 Comodo. 3/4
20.Pause. 休憩(休息)変イ長調 Vivo. 3/4「前口上」の再現が行われ、アタッカで次の曲に入る。
21.Marche des "Davidsbundler" contre les Philistin. フィリシテ人と闘う「ダヴィッド同盟」の行進変イ長調 Non Allegro. 3/4 - 変ホ長調 Molto piu vivo. - Animato. - Vivo. - 変イ長調 - Animato molto. - Vivo. - Piu stretto.「行進」というタイトルにも関わらず3/4拍子である。「フィリシテ人」とは『旧約聖書』に登場するペリシテ人のことであり、シューマンは音楽上の「俗物」「守旧派」の意味で用いている。これに対し、「ダヴィッド」同盟は、ペリシテ人の巨人ゴリアテを倒した「ダヴィデ王」に因んでいる。フィリシテ人のテーマは「17世紀の旋律」と題され、低音部に現れる。これは『パピヨン』作品2にも登場するテーマである。

謝肉祭 (シューマン)

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