シューベルト:交響曲 第7番 ロ短調 D 759 「未完成」独)"Unvollendete" 英)"Unfinished"

指揮: ギュンター・ヴァント(89歳) Günter Wand
NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団 NDR Elbphilharmonie Orchester
シュレースヴィヒ=ホルシュタイン音楽祭 Schleswig-Holstein Musik Festival, Musik- und Kongresshalle Lubeck 2001

交響曲第7番 ロ短調 D 759 は、フランツ・シューベルトが1822年に作曲した未完の交響曲である。
シューベルトの代表作のひとつであり、一般的に『未完成』(独:Die Unvollendete)の愛称で親しまれ、ベートーヴェンの『運命』やドヴォルザークの『新世界より』などと並んで大衆的な人気がある。かつてのレコード業界では『運命』と『未完成』のカップリングは、いわゆる「ドル箱」として重視されていた。

交響曲は通常4つの楽章から構成され、その最も典型的な形が「運命」や「新世界」などに見られるアレグロ・ソナタ - 緩徐楽章 - スケルツォ - フィナーレ という形式である。シューベルトも当初はそのようなものを構想して、この交響曲ロ短調の作曲を進めていったのであろうと考えられる。しかし、シューベルトは第2楽章まで完成させ、スケルツォ(第3楽章)をスケッチまでほぼ仕上げながら、そこで作曲を中止してしまった。このような経緯により交響曲ロ短調D759は、第2楽章までしかない未完成交響曲となってしまったのであった。

第1楽章 Allegro moderato ロ短調、4分の3拍子。
冒頭からロ―嬰ハ―ニの有名な動機が現れる。単に序奏というのではなく楽章の最後まで執拗に支配している。木管の甲高い第1主題を弦楽が支えながら第2主題に入る。通常のソナタ形式であれば、短調の第1主題に対して3度上の平行長調でニ長調書かれる第2主題が、ここでは逆に3度下のト長調で書かれている。この調性関係は、ベートーベンの第9交響曲の第1楽章と同じである。第2主題では、伸びやかなチェロがシンコペーションに乗って歌われる。展開部は序奏を発展させる形のもの。半音階ずつ転調を繰り返す。再現部では、第2主題は提示部とは逆の3度上のニ長調で再現される。

第2楽章 Andante con moto - ホ長調、8分の3拍子。通常の演奏会ではここまでが演奏される。三部形式。
穏やかな下降音階の第1主題が提示される。コーダでは、シューベルトが好んで用いた三度転調により一時変イ長調に転調する。

シューベルト:交響曲 未完成

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