シューベルト:楽興の時 Moments Musicaux 作品94 D.780 より 第1番、 第3番、 第6番

ピアノ演奏: スヴャトスラフ・リヒテル Sviatoslav Richter
Live recording, Tokyo, 1.II.1979

『楽興の時』(Moments Musicaux )D780は、フランツ・ペーター・シューベルトが作曲した6曲構成のピアノ曲集。1823年から1828年にかけて作曲された。日本では多くのCMで採用され、広く知られている。特に第3番ヘ短調が名高い。

第1番 ハ長調 三連符が中心となる三部形式。
変化に富む曲調であり、装飾音が多く、演奏には技術が必要である。両手三連符によるト長調の穏やかな中間部が、落ち着きのない主部との素晴らしい好対照を成す。

第3番 ヘ短調 4分の2拍子。
6曲中最も知られている。シューベルトの存命中から愛好され「エール・リュス」(ロシア風歌曲)として有名であった。三部形式で左手の単調な伴奏を背景に右手が重厚な和音を歌う。NHKラジオ放送「音楽の泉」の主題曲としてもおなじみ。編曲次第では野卑な感じを与える。映画「カルメン故郷に帰る」でも用いられた。レオポルド・ゴドフスキーがこの曲をより複雑にした編曲を残している。

第6番 変イ長調 4分の3拍子。
落ち着いた間奏曲。エンハーモニックな転調が多い。中間部は変ニ長調のユニゾン。速度指定はアレグレットであり、通常は5~6分の演奏時間であるが、内田光子やリヒテルはたいへん遅いテンポで10分以上かけ、瞑想的に演奏している。

シューベルト:楽興の時

inserted by FC2 system