シューベルト: 4つの即興曲 Impromptus D.935 作品142 第1曲 ~ 第4曲

ピアノ演奏:マリア・ジョアン・ピレシュ Maria Joao Pires

 

4つの即興曲 作品142、D935は、フランツ・シューベルトが最晩年の1827年頃に作曲したピアノ独奏曲。ピアノソナタという形式をとらないが、実質大ソナタとも呼べる優れた構築性が認められる。特にロベルト・シューマンによってこうした指摘がなされ、現在では4曲を一組として演奏されることが多い。第3曲は「ロザムンデ」の主題をそのまま生かした洗練された変奏曲であり、単独での演奏機会も多い。
シューベルトは同時期に4つの即興曲 作品90、D899も作曲しているが、各作品の相互関連性・構築性に大きな違いがある。

第1曲 00:00 Allegro moderato ヘ短調。展開部を欠いたソナタ形式。4分の4拍子。
下降音階を基調にした第1主題。右手の豊富な装飾音は作者が落ち着きない演奏を避けるため、あえて演奏者に負担を強いたといえる。第2主題は変イ短調。右手と左手との交差は、同時期に作曲したピアノソナタ第20番と同様である。再現部でヘ短調になる。

第2曲 12:22 Allegretto 変イ長調。4分の3拍子。優雅なメヌエット風の楽章。
フルトヴェングラーも好んだといわれる重厚な和声。中間部は属調変ニ長調。軽やかな三連符のアルペジョ。

第3曲 20:20 Andante 変ロ長調。変奏曲。
劇付随音楽『キプロスの女王ロザムンデ』からとられたD-D-D-B♭-B♭-A-A-A-E♭の旋律は、東京電力のCMや『音楽の広場』でも用いられた。主題の後に5つの変奏が続く。なお、この即興曲集全体を一つのソナタと見なしたシューマンだが、この第3曲だけは別の曲と考えていた。
第1変奏は付点リズムの流れるような変奏。中声部に巧みな分散和音を組み込んでいる。
第2変奏は装飾音のついた6度の和声による変奏。途中左手のオクターブが印象的。
第3変奏は同主調。三連符が全曲を支配する。
第4変奏は変ト長調。右手の速い分散和音にロマン的なF#音が織り込まれている。シンコペーションも効果的で、ジャズに近い。
第5変奏は音階を元にした華麗なもの。技術が必要である。再び低音で主題がG♭音を伴って回想され、静かに終わる。

第4曲 33:24 Allegro scherzando ヘ短調。狂詩曲に近い。組曲の終曲にふさわしい作品。8分の6拍子。
装飾音がついたC-C-C-C-C-C音の主題。中間部は変イ長調と変イ短調がつかず離れず音階・ユニゾンで現れる。コーダはPiu prestoのオクターブ。

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