シューベルト:さすらい人幻想曲 ハ長調 作品15 D.760 より 第2楽章 Adagio

ピアノ: マルティン・ファン・デン・フック Martyn van den Hoek

幻想曲ハ長調「さすらい人」、またはさすらい人幻想曲はフランツ・シューベルト作曲のピアノ独奏曲である。D760、作品番号15。1822年出版。
全4楽章からなるが、切れ目なく演奏される。第2楽章の変奏曲主題が自作の歌曲『さすらい人』による(また4楽章とも『さすらい人』に基づく主題を用いている)のでこの名がある。のちにフランツ・リストが編曲したピアノ協奏曲(管弦楽伴奏)版もよく知られる(リストは2台ピアノ版、弾きやすくした校訂版(S.656a)も発表している)。ちなみに、シューベルトは素材として使用した『さすらい人』中のダクティルリズム(長‐短短)を好んでいたようで、たびたび自作の中で用いている(例としては『ロザムンデ』の第3幕間奏曲や『楽興の時』D780の第5曲、『4つの即興曲』D935の第3曲など)。

シューベルトのピアノ作品としては高度の演奏技術を要する作品で、シューベルト自身がうまく弾けず、苛立ちのあまり「こんな曲は悪魔にでも弾かせてしまえ」と言ったという逸話もある(これはトリビアの泉で報じられた)。最も多用されている技法はアルペッジョ(分散和音)で、シューベルトの他のピアノ作品でこれほど多様なアルペッジョを駆使した作品はほとんどない(シューベルトがこの作品の出版に当たって援助を受け、曲を献呈したエマヌエル・カール・エードラー・フォン・リーベンベルク(Emanuel Karl, Edler von Liebenberg)はヨハン・ネポムク・フンメルの弟子だった)。

幻想曲という名がついているが、4楽章からなる自由な形式のソナタ風作品で、リストがピアノソナタ ロ短調(単一楽章の幻想曲風ソナタである)を作曲する上でも大きな影響を与えたとされている。

第2楽章 Adagio 嬰ハ短調 2分の2拍子。
歌曲『さすらい人』の悲愴的な旋律による変奏曲。リストはこの楽章を「この楽章は非常に遅く心の底から感傷的に弾くべきだ」と語った。変奏が進むに従って音が細分化されていき、切れ目なく第3楽章へ続く。

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