シューベルト:交響曲 第8番 ロ短調 D.759 「未完成」 第1楽章

指揮:ブルーノ・ワルター Bruno Walter
ニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団 New York Philharmonic Orchestra

|第1楽章|第2楽章‐1第2楽章‐2

"交響曲は通常4つの楽章から構成され、その最も典型的な形が「運命」や「新世界」などに見られるアレグロ・ソナタ - 緩徐楽章 - スケルツォ - フィナーレ という形式である。シューベルトも当初はそのようなものを構想して、この交響曲ロ短調の作曲を進めていったのであろうと考えられる。しかし、シューベルトは第2楽章まで完成させ、スケルツォ(第3楽章)をスケッチまでほぼ仕上げながら、そこで作曲を中止してしまった。このような経緯により交響曲ロ短調D759は、第2楽章までしかない未完成交響曲となってしまったのであった。
なぜ第2楽章までで作曲を中止してしまったのかにはさまざまな説がある。例えば「第1楽章を4分の3拍子、第2楽章を8分の3拍子で書いてしまったために、4分の3拍子のスケルツォがありきたりなものになってしまった」というもの、また「シューベルトは、第2楽章までのままでも十分に芸術的であると判断し、それ以上のつけたしは蛇足に過ぎないと考えた」という説などである。事実、第3楽章のスケッチの完成度があまり高くないため、シューベルトのこの判断は正しかったと考える人は多い。もっとも、このように音楽作品を完成させないまま放棄するということをシューベルトはきわめて頻繁に行っており、「未完成」であることは、この交響曲の成立に関してそれほど本質的な意味はないとする考えもある。

シューベルト:交響曲 未完成

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