シューベルト:弦楽四重奏曲 第14番 ニ短調 D 810 『死と乙女』"Der Tod und das Mädchen"

演奏: ベルチャ弦楽四重奏団 Belcea Quartet

弦楽四重奏曲第14番ニ短調 D810は、フランツ・シューベルトが作曲した弦楽四重奏曲。作曲者が健康の衰えを自覚した直後の1824年に作曲された。なお、第2楽章が自身の歌曲「死と乙女」を引用していることからこの曲も『死と乙女』と呼ばれている。

すべての楽章が短調で書かれ、当時のシューベルトの絶望的な心境が垣間見える。自筆譜はニューヨーク・モルガン・ライブラリーに所蔵されている。
他に全ての楽章が短調で書かれた作品にはJ.S.バッハ作曲の『ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ第5番ヘ短調』、ショパン作曲の『ピアノソナタ第2番変ロ短調』、ショスタコーヴィチ作曲の『弦楽四重奏曲第15番変ホ短調』がある。
第1楽章 Allegro 4分の4拍子
ソナタ形式からなり、ブルックナーを予告する3主題制が見受けられる(それぞれニ短調、ヘ長調、イ長調)。第13番、第15番および弦楽五重奏曲の開始楽章とともに、シューベルトの室内楽ではもっとも規模が大きく、なおかつ最も重要な作例の一つである。

第2楽章 Andante con moto 2分の2拍子
ト短調による変奏曲。自作の歌曲『死と乙女』D531のピアノ伴奏部分を主題とし、それに5つの変奏とコーダが続く。

第3楽章 Scherzo: Allegro molto 4分の3拍子
再びニ短調による第3楽章は、スケルツォというより、シューベルトの一連のピアノ曲のレントラーに近い。中間部はニ長調。

第4楽章 Presto 8分の6拍子
切迫したタランテラ風のフィナーレ(第15番も同様である)は、ロンド・ソナタ形式による。コーダで短調から長調の凱歌に転じて、消え去っていき最後は再び短調の和音で締め括られる

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