シューベルト:ピアノ五重奏曲「鱒」 "Trout quintet theme and variations" D.667

Berliner Philharmoniker Soloists
 Violin, Noah Bendix-Balgley ( 1st Concertmaster Berliner Philharmoniker)
 Viola, Mate Szucs ( 1st Principal Viola Berliner Philharmoniker)
 Cello, Bruno Delepelaire ( 1st Principal Cello Berliner Philharmoniker)
 Double bass, Matthew McDonald ( 1st Principal Double Bass Berliner Philharmoniker)
Piano, Yannick Rafalimanana

ピアノ五重奏曲 イ長調は、シューベルトが1819年に作曲した作品である。 ドイチュによるシューベルトの作品のドイチュ目録ではD667にあたる。 初演の時期は不明。楽譜は死の翌年の1829年に出版された 。

Ⅰ Allegro vivace
Ⅱ Andante
Ⅲ Scherzo: presto
Ⅳ Andantino - Allegretto "Die Forelle"
Ⅴ Allegro giusto

この曲はシューベルトが22歳、まだ若々しく希望と幸福にあふれていた時期の名作として知られる。なおこれ以降には、シューベルトはピアノ五重奏曲を作曲していない。

第4楽章が歌曲『鱒』D550(5つの版のうちの第3稿と考えられている)の旋律による変奏曲であるために、『鱒』(ます、独: Die Forelle)という副題が付いた。先に作った歌曲が変奏曲であることとは別にこの作品(D667)の変奏曲もまた、水の中に現れては消える鱒のモチーフを与えている。シューベルトはこれをピアノ伴奏の中で使用した。

通常のピアノ五重奏の編成(ピアノ1台と弦楽四重奏)とは異なりシューベルトの作品ではピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロおよびコントラバスという編成がとられている。同じ編成によるピアノ五重奏曲はフンメルも2曲作曲しており、『鱒』は実際にはフンメルの作品を演奏する楽団のために書かれた。作曲時期から考えると、シューベルトが参考にしたのはフンメルの「五重奏曲」変ホ短調作品87(1822年出版)ではなく、「七重奏曲」ニ短調(編成: Pf、Fl、Ob、Hrn、Va、Vc、Cb)作品74のピアノ五重奏版(原曲と共に1816年頃出版)だと考えられている。

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