シューベルト:アルペジオーネ・ソナタ Arpeggione Sonata イ短調 D.821

チェロ: ミクローシュ・ペレーニ Miklos Perenyi
ピアノ: アンドラーシュ・シフ Andras Schiff

アルペジョーネとピアノのためのソナタ イ短調 D.821は、フランツ・シューベルトが1824年11月にウィーンで作曲した室内楽曲。このソナタは、アルペジョーネのための作品では、こんにち現存する唯一の作品である。
このソナタは、アルペジョーネのための作品の中では唯一広く知られている作品である。本作は、弦楽四重奏曲「死と乙女」と同時期の作品であり、当時シューベルトは梅毒の進亢に苛まれ、度々の抑鬱症の発作に見舞われてもいた。

本作はアルペジョーネが発明された翌年に作曲された。おそらくは、アルペジョーネの演奏に通じていた知人ヴィンツェンツ・シュースターから、委嘱を受けてのことと考えられている。作品がシューベルトの死後1871年に出版されるまでに、アルペジョーネじたいが愛好されなくなり姿を消していた。こんにちこの作品はもっぱらチェロ・ソナタないしはヴィオラ・ソナタに編曲して演奏されている。また時折りコントラバスやギターがアルペジョーネの代役を果たすこともある。

次の3つの楽章から成る。演奏時間は30分弱。
1.Allegro moderato
2.Adagio
3.Allegretto

アルペジョーネは復元されているが、奏者が乏しくほとんど実演は行われていない。そのため、編曲が多く行われている。6弦全部をピッチカートする指示が提示部末尾にあり、この箇所のおかげでアルペジョーネの代用品では一切実現が出来なくなっている。

編曲に際し苦慮される点は、チェロやヴィオラがアルペジョーネに比べて音域が狭いことである。6弦のアルペジョーネに対して上記の楽器のほとんどは4弦であり、そのためアーティキュレーションを手直ししなければならない。また、アルペジョーネはフレットがつけられているため、高音域の演奏が容易であり、これも現代の奏者を悩ませている。5弦のピッコロチェロは音域は同一になるが、フレットはない。
現在ヴィオラを5弦にし、その5弦目をEに調弦することで、原作に近づける試み[2]が行われている。

ギターやマンドロンチェロで演奏を行うことは可能だが、やはり原曲は「弓奏」であり、シューベルトの意図とは異なる。ほかの楽器で代用しても原作の触感には敵わないので、この楽曲のためだけにアルペジョーネを復元し、チェロ奏者が担当することも現代では行われている。

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