メンデルスゾーン:序曲、スケルツォと終曲 作品52 Ouverture, Scherzo und Finale

指揮:パーヴォ・ヤルヴィ Paavo Jarvi
hr-Sinfonieorchester (Frankfurt Radio Symphony Orchestra)
Alte Oper Frankfurt, 6. Marz 2015

序曲、スケルツォと終曲または序曲、スケルツォとフィナーレ(独: Ouverture, Scherzo und Finale)作品番号52は、ロベルト・シューマンが1841年および1845年に作曲した管弦楽曲である。
メンデルスゾーン門下で親交のあったオランダの作曲家ヨハネス・フェルフルスト(英語版)に献呈されている。

シューマンは1840年頃までピアノ曲の作曲に専念していたが、1841年には交響曲第1番(3月31日初演)をはじめ、管弦楽作品を次々と作曲する。この「序曲、スケルツォと終曲」もその1つで、この年1841年に完成した(初稿)。
同年12月6日、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の演奏会で、交響曲第4番の初演と共に、この曲も初演された。指揮は、メンデルスゾーンが体調不良のためコンサートマスターのフェルディナント・ダーヴィトが行った。
4年後の1845年に改訂が行われて現在の形に落ち着いた。作品の名称も、「組曲」「小交響曲」などの名称を経て、現在の名称に落ち着いた。

楽曲の特徴・評価 1841年にシューマンが作曲した管弦楽作品は、交響曲第1番、この「序曲、スケルツォと終曲」(初稿)の他、ピアノ協奏曲(第1楽章の初稿「ピアノと管弦楽のための幻想曲」)、交響曲第4番(初稿)があった。いろいろな方向性の管弦楽曲の作曲を試した、その1つであると考えられる。
シューマン自身はこの曲を「交響曲の形式と違っている。各楽章単独で演奏しても構わない」と述べている。
全曲を通して明るい曲調で貫かれている。また3つの楽章ともリズミックな旋律・音型を基調としている部分が多い。曲の展開についても、形式より自由な発展に重みが置かれている。

題名の通り「序曲」「スケルツォ」「終曲」の楽章が組み合わさった楽曲であり、交響曲の形式から緩徐楽章を省略したものとも言える。
演奏時間は約18分。
第1楽章「序曲」アンダンテ・コン・モート~アレグロ、ホ短調~ホ長調
序奏の付いたソナタ形式。ヴァイオリンと低弦により対比される序奏部に続き、躍動的な旋律を持つ主部が続く。随所で細かいリタルダンド(テンポの緩和)が用いられる。楽章最後は、一旦速いテンポで盛り上がったものが再び収まり、再度盛り上がる、という形になる。

第2楽章「スケルツォ」ヴィーヴォ~「トリオ」リステッソ・テンポ、嬰ハ短調(ホ長調)~変ニ長調
三部形式。主部では「タンッタタン」というリズムに乗った旋律が延々と繰り返される。中間部とコーダではそのリズムが消える。コーダでは第1楽章の主題が回想されたのち、「タンッタタン」のリズムが切れ切れに奏されながら、静かに楽章を終わる。

第3楽章「終曲」アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ、ホ長調
ソナタ形式。管弦楽の全奏で主題の一部が紹介されたあと、主題全体がリズム伴奏に乗って紹介される。総譜上トロンボーンは省略可能となっているが、実は随所で、曲の盛り上がりに非常に重要な役目を持つ。途中、自作のオラトリオ『楽園とペリ』第1幕の音楽(8曲目)に酷似する動機が挿入される部分がある。この楽章最後も、一旦大きく盛り上がったものが再び収まり、再度盛り上がる、という形で終わる。

メンデルスゾーン:序曲、スケルツォと終曲

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