リスト:メフィスト・ワルツ から 第1番「村の居酒屋での踊り」S.514

ピアノ(アウグスト・フェルスター August Förster): アナスタシア・ハップマン Anastasia Huppmann

メフィスト・ワルツ』(ドイツ語:Mephisto-Walzer)は、フランツ・リストが作曲したピアノ曲および管弦楽曲である。この題がつけられた作品は4曲存在し(うち1曲は未完)、第1番は1856-61年頃に、残りの3曲は晩年の1878年から1885年にかけて作曲された。このうち第1番が特に有名で、ピアノ曲としても管弦楽曲としても頻繁に演奏、録音されている。

かねてからファウスト伝説に強く惹かれていたリストが、同郷の詩人ニコラウス・レーナウによる長大な詩から霊感を得て作曲したピアノ曲が「村の居酒屋での踊り(Der Tanz in der Dorfschenke)」、すなわちメフィスト・ワルツ第1番である。この曲は、管弦楽曲『レーナウの「ファウスト」による2つのエピソード』の第2曲(S.110/2)という形でも知られている。同時期に4手ピアノ版(S.599/2)も作られたが、そちらが管弦楽版に忠実な編曲となっているのに対し、ピアノ独奏版は独自の音楽を展開している。

曲の元となったストーリーは以下のようなもの。
「ファウストとメフィストフェレスは、農民たちが踊り集う居酒屋に現れる。楽士からヴァイオリンを取り上げたメフィストは、憑かれたかのように弾き始め、農民たちを陶酔のなかに引き込む。ファウストは黒髪の踊り子を抱いて星の夜へと連れ出し、森の中に入ってゆく。開いた戸から、夜鳴き鶯の鳴き声が聞こえてくる。」

作品は作曲当時としては斬新な和声が使われており、冒頭の五度の積み重ねによる和音はその主たるものである。なお、リストはのちに2つの挿入部分を書き残しており、1982年に『新リスト全集』で初めて出版された。
このピアノ版は、弟子のカール・タウジヒに献呈されている。

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