ショパン:ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調 作品11

指揮: ズービン・メータ Zubin Mehta
イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団 Israel Philharmonic Orchestra
ピアノ演奏: エフゲニー・キーシン Evgeny Kissin
in Tel Aviv, 24 December 2011

この協奏曲は第1番とあるが、実際は2番目に作られている。ショパン自身の話によると、最初に書いたヘ短調協奏曲のオーケストラ総譜が一時行方不明になったので、この曲を先に出版したという。
1830年10月11日、ワルシャワでの告別演奏会においてショパン自身のピアノ独奏により初演された。
この作品は彼の故郷ワルシャワへの告別と、飛翔の意味が込められているといわれる。ロマンティックな情念と創意にあふれる第2番に比較して、第1番は構成を重視した作りで規模も大きい。
ピアノ独奏部に対してオーケストラの部分が貧弱であると批判されることがあり、カール・タウジヒ(曲の構成及びピアノパートにまで改変を加えている)、ミリイ・バラキレフなどが自作の管弦楽編曲を残している。だが、この曲の自筆譜はほとんど現存しておらず、ほぼ同時に作曲された第2番同様に現在の楽譜は他人によりオーケストレーションされた可能性が高い。
第1楽章 Allegro maestoso ホ短調 4/3拍子 協奏風ソナタ形式。
オーケストラによってマズルカ風の第1主題とポロネーズ風の副主題、第2主題が奏された後、独奏ピアノが登場し、終始華やかに曲が展開される。第2主題は通常のソナタ形式とは逆に、提示部は同主調のホ長調で、再現部は平行調のト長調で演奏される。コーダで技巧上クライマックスとなる。
 
第2楽章 Romanze, Larghetto ホ長調 4/4拍子
初演当時のテンポ指示は「アダージョ」だったが、出版に際して変更された。瞑想的な弱音器を付けた弦の序奏に続いてピアノによる美しい主題が現れる。途中のagitatoの部分で盛り上がりを見せた後、ピアノのアルペジョを背景に、オーケストラが最初の主題を奏でて曲を閉じる。切れ目無く終楽章へ続く。破局後の時期であったこともあり、青年期の恋人コンスタンツィア・グワドコフスカへの憧れも影響しているという意見もある。
 
第3楽章 Rondo, Vivace ホ長調 4/2拍子
短い序奏の後、ポーランドの民族舞踊の1つである「クラコヴィアク」を基にした華やかなロンドが出る。オーケストラとピアノが掛け合い、途中に民謡調のエピソードを登場させつつ、堂々たるクライマックスを築く。コーダ部分のアルペジョは特に高度な技術を要求されるが、最大の見せ場の一つとなっている。

ショパン:ピアノ協奏曲第1番

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