映画「砂の器」主題曲 : ピアノと管弦楽のための組曲「宿命」"fate"

原作:松本 清張 
音楽監督: 芥川 也寸志 作曲: 菅野 光亮
演奏:東京交響楽団 Tokyo Symphony Orchestra
配役: 加藤 剛 が扮する 和賀 英良(わが えいりょう)「ヌーボー・グループ」の一人で、天才的な音楽家。28歳。

『砂の器』のテーマ曲である、ピアノと管弦楽のための組曲「宿命」を劇的に使っていることが映画版の特徴といえる。
劇中での和賀は、過去に背負った暗くあまりに悲しい運命を音楽で乗り越えるべく、ピアノ協奏曲「宿命」を作曲・初演する。 物語のクライマックスとなる、捜査会議(事件の犯人を和賀と断定し、逮捕状を請求する)のシーン、和賀の指揮によるコンサート会場での演奏シーン、和賀の脳裏をよぎる過去の回想シーンにほぼ全曲が使われ、劇的高揚とカタルシスをもたらしている。回想シーンでは、和賀英良が父と長距離を放浪していた際、施しを受けられず自炊しながら生活する様子、子供のいじめにあい小学校を恨めしそうに見下ろす様子、命がけで父を助け和賀少年が怪我を負う様子などが描写されている。原作者の松本清張も「小説では絶対に表現できない」とこの構成を高く評価した。

人がどん底から這い上がること、その苦難の道は原作者 松本清張氏自身が身をもって知っていた。
知られたくない過去を隠して這い上がった時、それが露わになる恐怖、映画製作公開にあたっては、差別を助長する心配から、多くの反対や紆余曲折があったそうです。しかし 「親と子の宿命だけは永遠のものである」この言葉がこれを乗り超える決め手となったそうです。

『砂の器』は、松本清張の長編推理小説。1960年5月17日から1961年4月20日にかけて『読売新聞』夕刊に連載され(全337回。連載時の挿絵は朝倉摂)、同年12月に光文社(カッパ・ノベルス)から刊行された。後に電子書籍版も発売されている。
1974年に松竹で映画化、またTBS系列で2回、フジテレビ系列で1回、テレビ朝日系列で2回の5度テレビドラマ化されている。

1974年製作。松竹株式会社・橋本プロダクション第1回提携作品。松本清張原作の映画の中でも、特に傑作として高く評価されてきた作品。第29回毎日映画コンクール大賞(日本映画)・脚本賞(橋本忍・山田洋次)・監督賞(野村芳太郎)および音楽賞(芥川也寸志・菅野光亮)、キネマ旬報賞脚本賞(橋本忍・山田洋次)、1974年度ゴールデンアロー賞作品賞、ゴールデングロス賞特別賞、モスクワ国際映画祭審査員特別賞および作曲家同盟賞をそれぞれ受賞。英語題名『Castle of Sand』。

「宿命」は音楽監督の芥川也寸志の協力を得ながら、菅野光亮によって作曲された。なお、サウンドトラックとは別に、クライマックスの部分を中心に二部構成の曲となるように再構成したものが、『ピアノと管弦楽のための組曲「宿命」』としてリリースされた。

映画「砂の器」

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