異邦人 -シルクロードのテーマ-

歌:久保田 早紀

「異邦人 -シルクロードのテーマ-」は、久保田早紀(現・久米小百合)の楽曲。1979年10月1日に発売されたデビュー・シングルの表題曲で、カップリングは「夢飛行」。

制作背景
元々は「白い朝」というタイトルであったが、「イメージが伝わりにくい」「インパクトが弱い」という理由から、プロデューサーの酒井政利により「異邦人」に変更されたという経緯がある。ちなみにタイトルの候補として「ストレンジャー」「旅人」「エトランゼ」などを考えたが全て却下され「異邦人」になったが、久保田本人は歌う気持ちにならないくらい気に入らなかったと語っている。また歌詞そのものもシルクロードをテーマにしたものに合わせ何度も書き直しさせられたとのこと。

この曲は元は、美しい並木道並木で知られる国鉄国立駅前の大学通りの景色をイメージして書かれたものだった。「子供たちが空に向かい 両手を広げ …」という歌い出しは、歌詞作りに難渋していた久保田(国立市出身)が、通学の時に乗っていた国鉄中央線から見える国立駅近くの空き地で遊ぶ子供たちの姿を電車から見て咄嗟に写しとったものである。

本人も「そんな、ふとした瞬間に出来た曲が、ここまでヒットするとは思わなかった。」と語った。また本人はこの曲が発売されてから半年間はヒットしていくことに戸惑い、その後も「平坦な更地にいきなり10階建のビルが建ってしまい、その後もビルがどんどん大きくなっていった感じ。」と、当時は曲が一人歩きしていることに非常に戸惑っていたそうである。デビューして30年経ち、ラジオにゲスト出演した際に、「今ではここまで愛される曲になって、非常に嬉しい。神様のプレゼントだと思っている。」と語った。

編曲は萩田光雄で、元々のアレンジは違っていたそうであるが、プロデューサーの酒井は、電通の藤岡和賀夫の企画により池田満寿夫・阿久悠・横尾忠則・浅井慎平ら計8名のクリエイターと、南太平洋裸足の旅にでかけ、そのたびで得た着想をもとに、異国を意識したコンセプトの曲を次々と作り出していた(「時間よ止まれ」はイースター島、「いい日旅立ち」は日本)。同年初頭のジュディ・オング「魅せられて」でエーゲ海を題材にしたのに続いて、またこの曲がCMに起用される話が持ち込まれたため、聴衆の異国情緒に訴える題材としてシルクロードを選び、作詞・作曲者が当初には想定していなかったエキゾチックなイメージを加味し、「-シルクロードのテーマ-」のサブタイトルも付して発売した。シルクロードのイメージを増幅させるため、民族楽器のダルシマーも本曲に使用され、インパクトのあるイントロは中東風の雰囲気が漂う。

このシングルの中で実際にピアノを弾いているのは、久保田ではなく羽田健太郎である。アルバム『サウダーデ』では、この曲をポルトガルで録音した。
本人によると、レコードジャケットの写真は、吉祥寺の「サムタイム」というライブハウスで撮影されたという。

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