ショスタコーヴィチ: 交響曲 第5番 ニ短調 作品47

指揮: キリル・カラビツ Kirill Karabits
RTVE交響楽団 Orquesta Sinfonica de RTVE
Moscow International House of Music, Svetlanov Hall December 14, 2012

この交響曲第5番はショスタコーヴィチの交響曲のなかでは均整の取れた構成をしており、かつてはショスタコーヴィチの最高傑作として位置づけられることが多かった。親しみやすい作風であることもあって、世界中のオーケストラのスタンダード・ナンバーとなっているが、最近は他の交響曲の演奏頻度も高くなり、今まで代表作とされてきたことに疑問を呈する意見もある。
 
第2番や第3番のような単一楽章形式で声楽を含む新古典風の交響曲や、マーラーの交響曲を意識した巨大で複雑な第4番を経て、第5番では交響曲の伝統的な形式へと回帰した。声楽を含まない純器楽による編成で、4楽章による古典的な構成となっている。
 

この作品の標題を「革命」としている場合があるが、ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」と同様、正式な標題ではなく、日本国内でのレコード広告の宣伝に使われたに過ぎない。 むしろベートーヴェンのそれと同じく人間の「生」(=life)について音楽を通して表現している。 古典的な4楽章構成による。ただし第1楽章は通常のアレグロではなく、モデラートと指定されており、緩-急-緩-急ともとれる配置になっている。演奏時間は約45分。
第4楽章 Allegro non troppo 4/4拍子 特殊な構成(三部形式に近い) ニ短調 36;55
冒頭、管楽器のトリルとティンパニのトレモロを主体にしたクレッシェンドに続き、ティンパニの叩く行進曲調のリズムの上で金管楽器が印象的な主題を奏する。テンポが頻繁に変化する強奏部分に続き、弱音主体の瞑想的な展開が行われる。ハープの印象的な動きから主調に回帰し、小太鼓のリズムに乗って弱音で冒頭主題が回想される。この主題と弱音部に現れた動機を用いながら徐々に膨れ上がっていき、シンバルやトライアングル、スネア、ティンパニなど各種打楽器も加わり、ニ長調に転じた後、ティンパニとバスドラムが叩くリズムの上で全楽器がニ音を強奏して終結する。
しばしば、この楽章をどのように解釈するかが演奏上の問題となる。直前に作曲された『A・プーシキンの詩による四つの歌曲』の第1曲『復活』の引用が見られる。虐げられた芸術の真価が時共に蘇るという詩の内容は、そのままスターリン圧政下の作曲者に二重写しとなる。コーダ近くのハープをともなう旋律は『かくて苦しみぬいた私の魂から 数々の迷いが消えて行き はじめのころの清らかな日々の幻想が 心の内に湧き上がる』(小林久枝訳)の伴奏部の引用である。

ショスタコーヴィチ:交響曲第5番

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