ピアノ学習者でなくとも耳にする機会があるであろうこの第1楽章は、ピアノ初心者の練習には最適な曲となっている。展開部はト短調で始まって小結尾の動機を執拗に展開し(この書法は同年に書かれたピアノ協奏曲第26番ニ長調 K. 537などの晩年の作品で見られる)、再現部は下属調であるヘ長調で始まる。この調性配置は作曲技術として興味深く、後にシューベルトが「5つのピアノ曲」(ピアノソナタ第3番ホ長調 D 459)で採用している。
第2楽章 アンダンテ
ト長調、4分の3拍子、複合三部形式。
表情豊かにゆっくりと演奏する。
第3楽章 ロンド:アレグレット
ハ長調、4分の2拍子、ロンド形式。
前楽章とは対照的に、元気よく、はねるように奏する。ちなみに、この楽章は1799年に、ブライトコプフ・ウント・ヘルテルにより移調した上でヴァイオリンソナタの断章と合わせた形で「ピアノソナタ ヘ長調 K. 547a」として出版されている。