フォルテピアノ: クリスティアン・ベザイデンホウト Kristian Bezuidenhout
17 October 2018 Madrid, Fundacion Juan March
ピアノソナタ第14番 ハ短調 K. 457 は、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトが作曲したピアノソナタである。
モーツァルトが作曲した短調のピアノソナタは第8(9)番イ短調 K. 310(300d)とこの作品のみである。モーツァルトのピアノソナタの中で最も激しく劇的な展開を見せており、後に音楽家となる初期のベートーヴェンに強い影響を与えたと言われる。
1784年にウィーンで作曲された(モーツァルト自作の作品目録では、同年10月14日に完成したと書かれている)。翌1785年に「幻想曲 ハ短調 K. 475(英語版)」と共に「ピアノフォルテのための幻想曲とソナタ」作品11としてアルタリアから出版された。短調であるが故に、その後のピアノソナタの新地平を切り開いたこのモーツァルトの記念碑的な2曲のピアノソナタは、モーツァルトの楽譜の写譜をしていたフォン・トラットナーの妻でモーツァルトのピアノの弟子でもあったテレーゼ・トラットナー夫人に献呈された。
大まかに「A - B - A - C - B - A - C - コーダ」という構成。第1主題(A)は最初物憂げに始まるが、突然劇的に盛り上がる。第2主題(B)は変ホ長調で、その後半は第1楽章の小結尾と関連性がある。ほぼ同じ形で第1主題が繰り返された後に入るエピソード(C)はヘ短調→ト短調で、非常に短い。再現部はハ短調で第2主題が先に現れる。その後に第1主題がフェルマータによる中断を伴って、非常な不安感・緊張感を持って再現される。それが爆発した後にエピソードが更に短く再現されると、そのままコーダに突入し、最後は激しい2つの和音で終わる。トーヴェンのピアノソナタ第8番第2楽章の有名な旋律との関連性が指摘されている。コーダは第1エピソードと関連性がある