モーツァルト:ピアノ協奏曲 第9番 変ホ長調 K.271 「ジュノム」Jeunehomme

指揮: ジェフリー・テイト Jeffrey Tate
ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団 Mozarteum-Orchester Salzburg
ピアノ: 内田 光子 Mitsuko Uchida

この協奏曲は、フランスの女流ピアニスト、ジュノーム嬢がザルツブルクを訪れた際に、彼女に献呈されたといわれてきたため『ジュノーム』というニックネームがついている。この曲の新鮮さ、大胆さとこれまでにない規模の大きさは、彼女の影響によるものとされている。
第6番、第8番、第9番は作曲年代が近いが、3曲の中で最後にあるこの第9番は内容、形式ともに特に優れた曲として高く評価されている。

第1楽章の冒頭で、オーケストラによる第1主題の呼びかけに応えていきなり独奏ピアノが登場するところなどは、型破りなスタイルである。このスタイルは、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番、第5番「皇帝」の先駆とも言えるであろう。
第2楽章のヴァイオリンが弱音器をつけて最低音域で歌うハ短調の旋律や、第3楽章の大規模で貴族的なロンドも魅力的である。
カデンツァは第1楽章、第2楽章用にそれぞれ2種類書かれている。第3楽章用のカデンツァ(アインガング)は2箇所あり、それぞれ3種類書かれている。この曲のカデンツァが数多く残されている理由は、モーツァルト自身がこの曲をよく演奏していたためであるとされる。少なくとも、1777年10月4日ミュンヘンで、1781年4月3日と1783年の春にウィーンで演奏されたことが知られている。

モーツアルト:ピアノ協奏曲 第9番

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