モーツァルト:2台のピアノのためのソナタ K.448

ピアノ: ダニエル・バレンボイム Daniel Barenboim
    マルタ・アルゲリッチ Martha Argerich

2台のピアノのためのソナタとは、ピアノ二重奏のために作曲されたピアノソナタである。

モーツァルトはピアノやオルガンなどの鍵盤楽器を1人で1台演奏する曲(独奏曲)の他に、2人で1台演奏するもの(連弾曲)や、2人で2台演奏するもの(ピアノ二重奏曲)も作曲しており、これらの曲名には「四手のための」(zu vier Handen)あるいは「2台のピアノのための」(fur zwei Klaviere)と付されている。なお、ピアノ協奏曲にも複数台のピアノが演奏されるものがある。

モーツァルトが作曲しようとした「2台のピアノのためのソナタ」は複数あるが、このうち「2台のピアノのためのソナタ」として完成したのは1曲のみであり、それ以外は断片として残っているソナタ楽章か「四手のためのピアノソナタ」として完成したものである。また、モーツァルトは2台のピアノのためのピアノ曲としてピアノソナタの他にフーガなども作曲している。

2台のピアノのためのソナタ ニ長調 K.448 (375a) (Sonate in D fur zwei Klaviere) は、モーツァルトが25歳の時にウィーンで作曲、1781年11月に完成した。
第1楽章 Allegro con spirito ニ長調 4分の4拍子 ソナタ形式
第2楽章 Andante ト長調 4分の3拍子 ソナタ形式
第3楽章 Molto allegro ニ長調 4分の2拍子 ロンド形式

モーツァルトにはヨーゼファ・バルバラ・アウエルンハンマーという女性の優れたピアノの弟子がいたが、この曲は2人で弾くために作曲され、1781年11月23日に彼女の家で開かれたコンサートで初演された。草稿の欄外に赤インクで1784と書かれているためK.448となったが、1781年11月24日の父宛の手紙にモーツァルト自身とアウエルンハンマーがこの曲を演奏したことが書かれていたことなどから、1781年11月の作と推定されるようになった。

モーツァルトは弟子の中でもアウエルンハンマーの才能をとりわけ高く評価しており、貴重な時間を毎日2時間彼女のレッスンに割き、何度も共演したり曲を書いたりしている。しかしその一方で、モーツァルトに好意を寄せる彼女の厚かましい言動に閉口し、「もし画家が悪魔をありのままに描こうと思ったら、彼女の顔を頼りにするにちがいありません。……彼女は田舎娘のようにデブで、汗っかきで、吐き気を催すほどです」(1781年8月22日付)と手紙に彼女の容姿を書いている。この曲に連弾ではなく2台のピアノを用いたことに、彼女の才能と容姿に対するモーツァルトの評価を関連させて見る向きもある。

クラシック音楽をテーマとした二ノ宮知子の漫画作品『のだめカンタービレ』で主人公の千秋真一と野田恵(のだめ)が初共演した曲として登場し、知名度が上がった。

Wikipedia

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