モーツァルト:弦楽五重奏曲 第3番 ト短調 K.515

ヴァン・カイック四重奏団 Quatuor Van Kuijk

弦楽五重奏曲第3番ハ長調K.515は、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトが第4番ト短調K.516とほぼ同時期に、1787年の春頃に作曲し、同年4月19日に完成させた作品。演奏時間は約35分。

曲の特徴
モーツァルトが31歳、全盛期と言っていい時期に作曲された。6曲あるモーツァルトの弦楽五重奏曲のうち、第4番ト短調K.516と、この2曲は、ハ長調―ト短調のペアで作曲され、翌年1788年に作曲された、交響曲第40番ト短調K.550と交響曲第41番ハ長調 K.551『ジュピター』のペアとも擬せられる。美しい緩徐楽章と見事な構成を持つ終楽章は確かに、モーツァルト全盛期の完成度を持ち、この第3番は、室内楽の分野において交響曲「ジュピター」に比肩し得る風格を持つと評価される。また、他の弦楽五重奏曲とは異なり、ヴァイオリンとチェロとの掛け合いが多く見られることも注目に値する。
なお、初版では第2楽章と第3楽章が現在のものとは逆であった。この楽章配置による演奏も一部では行われている。

出版
第4番と共に、モーツァルトは借金を重ねていたヨハン・ミヒャエル・プフベルクの所から予約出版することを翌1788年4月2日に『ウィーン新聞』で発表していたが、売れ行きが芳しくなかったために出版を1年延長すると6月25日に同新聞で発表し、結局出版は1789年になってアルタリア社から行われた。

編成 :第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、第1ヴィオラ、第2ヴィオラ、チェロ

第1楽章 Allegro ハ長調、4分の4拍子。ソナタ形式。
内声三声による和音の刻みを背景に、チェロと第1ヴァイオリンが力強い第1主題を呈示する。
第2楽章 Andante ヘ長調、4分の3拍子。ソナタ形式。
モーツァルトの音楽の中でも無類の美しさをもつもの。第1ヴァイオリンと第1ヴィオラの二重協奏曲的な対話により音楽は進められる。
第3楽章 Menuetto. Allegretto ハ長調、4分の3拍子。複合三部形式。
溢れる楽想が五声で展開される。トリオはヘ長調。
第4楽章 Allegro ハ長調、4分の2拍子。
ロンド風のソナタ形式。比較的単純な2つの主題が様々に変化され、439小節にも及ぶ大きな構成をもつ終楽章である。五声は完全に駆使され、豊かな響きを奏でる。

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