モーツァルト:フルート四重奏曲 第4番 イ長調 K.298

クイケン弦楽四重奏団 Kuijken quartet
ヴァイオリン: シギスヴァルト・クイケン Sigiswald Kuijken
トラヴェルソ:バルトルト・クイケン Barthold Kuijken

フルート四重奏曲 第4番 イ長調 K.298
従来の説では1778年にパリで作曲とされてきたが、現在では1786年の秋から翌年の初め頃にウィーンで作曲されたという説が決定的になっている。というのは、この曲の全ての楽章の主題が当時の流行していた歌からできており、第3楽章が1786年にウィーンでヒットしたパイジエッロのオペラ『勇敢な競演』のアリアの主題を拝借しているからである。1786年といえば、オペラ『フィガロの結婚』や『プラハ』交響曲が生み出された時期で、音楽の彫りが深くなり、表現にいっそう幅が増した時期であったが、この四重奏曲はむしろ気楽で快適な気分に満ちている。各楽章の主題が当時親しまれていた旋律によっていることも、そんな性格をいっそう強めている。

第1楽章 アンダンテ イ長調、4分の2拍子、変奏曲形式。フランツ・アントン・ホフマイスターの歌曲「自然に寄す」の主題による変奏曲で、フルートによる主題の後に4つの変奏が続き、主旋律を担う声部は次第に低弦へと移って行く。

第2楽章 メヌエット ニ長調、4分の3拍子、三部形式。主題はフランスの古い民謡「バスティエンの長靴」である。生き生きとしたリズムの主部と、フルートの軽やかな舞いによる中間部のトリオからなる。後者の旋律は、フランスの昔のロンドによっている。

第3楽章 ロンドー、アレグレット・グラツィオーソ イ長調、4分の2拍子、ロンド形式。明るく、壮麗なフィナーレであるが、冗談でロンドーを“Rondieaoux”とふざけて表記している上に、アレグレット・グラツィオーソと指示した速度指定のあとに、「あまり速すぎず、あまり遅すぎず、そうそう、愛想良く、上品に、表情豊かに」といたずらめいた指定が書き込まれている。こうした例はホルン協奏曲にもあり、モーツァルトが親しい知人たちのための作品に書き込む冗談で、これは友情の産物であることを暗示している。

Wikipedia

inserted by FC2 system